フランス渡航手続き 〜健康保険

フランス渡航手続きの第二弾。

フランスで健康保険・社会保障を取得するための問題点

渡航用のビザ関係が全て済んだ後に、私たち家族にとって重要であり問題だったのが、健康保険への加入だった。 特に嫁が妊娠中であるため、検診や出産を考えると健康保険に入れないとなかなかの出費になる。 ちなみにグルノーブルの公立病院で出産手続きを全てやると6000ユーロほどの費用だったらしい。
いずれにしろ海外で長期間働く場合には、健康保険や社会保険への加入は必須であるだろう。 国や所属先、渡航期間などによって健康保険への加入手続きは違う。 例えば私がアメリカに渡航したときは国立研究所への就職であったため、契約書類にサインするだけで健康保険に加入することができた。 現在のフランスの就職先も、ちょっとした国立の機関であるため当初は保険契約に苦労するという想定はしていなかった。。

ところが保険契約をする上で問題になったのが、私の契約期間であった。 フランスでの仕事の契約は6ヶ月のみ。 なんとこの国立機関の契約している、保険会社は9ヶ月以上職務期間がある場合しか対応をしていないというのだ。 それではそういう場合の保険手続きがあるだろうと、ウェブサーチをしつつフランス在住の友人たちからも情報を集めてみる。 その結果、いくつかの方法が可能性としてはあるということと、同時に保険加入への道のりは思いの外難しそうであることがわかった。 私たちと似たような状況下で、保険契約を諦めて帰国を選んだという方のブログも見つかった。 一方で、フランスの良い方の適当さから、対応次第ではなんとかなりそうだと思わせるような友人の経験もあった。

いくつかのフランスで使える健康保険の候補

さて保険加入の方法であるが、まず日本から日本の保険会社と契約するという方法。 日本の会社だから契約や対応面では安心できるというのが利点だ。 難点としては契約料金はなかなか良い値段がするということ。 私たちにとって最も大きな問題だったのは、この契約の場合日本への帰国時期までの一括契約をしないといけないという点であった。 この当時フランス契約満了後の予定は未定であり、日本に戻って来るのは確実ではなかったのだ(実際にフィンランドに移住することが決まった)。 というわけで、6ヶ月で海外赴任保険を作ってみるということを考慮しつつも第一候補からは外すことになった。
次に調べてみたのが現地で民間保険に入るという方法であった。 いくつかの保険会社があり、外国人との短期契約が結べそうなところもありそうではあった。 しかしここで問題になったのが、私の嫁が妊娠中であったことだ。 契約中に妊娠する分には全くもって問題ないのだが、妊婦の契約は認めていないところが多かったのである。 ちなみに日本の保険会社と契約した場合でも、出産関係の費用が落ちるのかはわからない。 いずれにしろ、規定でダメとはいっていない保険会社がいくつかはあったので、それらの会社との契約交渉は候補に残しておいた。
この段階で最も可能性が高かったのはCMUへの加入であった。 基本的には無職や低所得者用の社会保険であるが、フランス国内からの収入がない場合や、止むを得ない事情がある場合などには加入できる可能性があるらしい。 職場のボスからこの状況ならばおそらく認められるのではないかという助言もあったため、CMUへの加入を目指すというのを第一候補としてフランスへの渡航をすることになった。

フランス渡航後の健康保険・社会保障加入の顛末

渡航の時点ではそういう事情であったので、健康保険に加入できなかった場合は、出産のために嫁が帰国することも視野にはいれていた。 だが、フランス渡航後状況が一変する。
職場にてスタートアップの書類の記入をしていたところ、人事から保険はどうなってるんだと尋ねられる。 CMUへの加入を試したいんだと伝えると、念のため所属期間の契約会社の方に電話をしてくれるというのだ。 その結果・・・なんと契約会社を通しての社会保険への加入の許可が出たのだ。 このチャンスを逃してなるものかと、その日のうちにオフィスへの訪問のアポイントをとり契約の締結にかかった。
実際のところ、オーケーが出たのは対応した職員の認識違いであり、ルールとしては6ヶ月期間では契約はできなかったそうなのだ。 職場のボスに同席してもらい交渉してもらった結果、一度許可を出してしまった以上、任意保険(mutuelle)に加入してくれるなら、契約をしましょうという提案をいただけた。 そういうことで無事フランスの社会保障システム(Sécurité sociale)と任意保険に入れることになったのである。
その後の手続きは嫁の英語版のブログに詳しく書いてあるが、必要書類や写真をそろえて保険会社に送ることで保険カード(Carte Vitale)を手にいれることができた。 手にいれるのが難しかった書類は戸籍の法定翻訳くらいだが、ここグルノーブルには日本人の法定翻訳家がいらっしゃるので、比較的迅速容易に手にいれることが可能である。 ちなみに各地の法定翻訳家のリストは領事館のホームページで確認できる。 保険カードが手元に届くまでは3ヶ月ほどかかったが、保険番号を教えることで保険を使い始めることができる。

フランスはとにかく人次第だ。 それによって物事がうまくまわらないこともあれば、今回のようにうまく行くケースもある。 ダメ元でもとりあえずお願いしてみるというのは試す価値があるだろう。 もちろん逆に失敗することもあるだろうから、そうなったときはそれはそれと笑い飛ばす心意気も必要ではあるだろう。。

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