科学論文のセカンドオーサーというクソポジションについて

 

ちょっと前にPhDの学生から「お前この論文にえー仕事したからサードオーサーからセカンドオーサーに格上げしたるでー」っていうありがたい言葉を頂いて思ったことを書くくだらない雑記。

 

いや、普通にファーストオーサーくれって言いたいくらいの仕事量つっこんでくるんだけど‥‥正直コーファーストのオファーがないのがマジで不思議な仕事だったわ。

他の論文でもそう思ったことはあるんだけど、そのバランス考えるのってPIの大切な仕事だよね。特に論文作るのに分業がますます進んでくこれからはさ。旧態然の仕切り方だからって流してたらほんと恨まれまっせ。

この論文と最近のもうひとつの論文はホントに意味わかんかったわ。仕事始める段階に戻れるなら間違いなく断ってるのは確か。ってか残り少ない研究時間の中では、あの近辺からの仕事はもううけん。

似たような仕事突っ込んでセカンドオーサーになったもう一つの論文では全くそういう感慨がないから、ファーストオーサーからのリスペクトがあるのかってことも大きいんだろうけどさ。

 

そもそもセカンドオーサーって著者が3人しかいなきゃ誰でもセカンドになるわけだし。全く業績評価にならんし。それを誇らしげに与えられる意味が全くわからないし。

シニアオーサーってかラボのビッグボスとかにそう言われるなら、まあ納得するっきゃないってわけだけど……

PhDの学生にできるだけ協力するって方針のラボだったからそれに従ってクソマジメにデータ出して、考察まで書いてやったけどさ、そのクソ努力した結果が”セカンドオーサーにしてやるわ”って割とクソな世界だよね。その見返りがあるってんだったら良いけど、もちろんそんなわけはないわけで。

いや結局のところマネージメントはボスの仕事なんだから、それをはしょったボスが悪いんだろうな……もう、ほんとこの世界クソだわ。

研究系以外でもそんなもんだとは思うけど、丁寧な仕事する人間から精神死んでいく世界なんて終わってしまえばいいのに。

辞めるからもういいやって思ってたけど一応言っておく。やっぱりこのシステム頭おかしいよ。

たぶんどの世界だってそうなんだろうけどさ……

ほんと。

 

あー、いや、言いたかったことはそんなことじゃなかった、鬱が進むとだめだな……言いたかったのはセカンドオーサーについてだった。

セカンドオーサーって今回みたいな感じで、たまに恣意的に評価される雰囲気になることがある……だけどセカンドオーサーが何報あるかなんて評価されないんだから、そんなカテゴリはなくすべきだよね。

っていうかこれから研究職に行く人にはセカンドオーサーになってしまうような仕事は勧めないよ。ってかもちろん強いモチベのある人以外には研究職自体勧めないけどさ。同じ努力量にもっとペイする仕事あるし。

ファーストかシニアになれるものだけに注力して、そうじゃないのは後ろの方に名前がのっかるってレベルの仕事に留める。そうした方が全然効率あがるもん。まあ皆そうしだしたら全体が回らなくなるんだけどね。ほんとボランティアが死ぬクソな世界だ。

リラックスな仕事環境に生きてる人たちはセカンドオーサーを重視したりもするけど、それは幸せな世界だよね。科学を押してくのはあの方たちなのだろうけれど、一緒に共同研究はしたくないよね。ってか学生にはそういうグループと働くのは勧めない。

 

ファーストとシニアはまあわからないではないけれど、それ以外の序列がホントに何かに評価されることってあるの? ネイチャー・サイエンスならあるの? そうなら点数化するべきじゃん?

それをめっちゃアピールする人なら意味あるのかもわからんけど、そういうことする人ってそもそも論文0でもコミュ力で押して仕事とれるじゃん?

仕事した人間はコントリビューテッドオーサーのリスト、そこまでじゃない人間はそれ以外のリスト。ファーストの仕事量なんて昨今大してないし、シニアの重要性的な予算とってくるとことか論文のコンセプトを作るところなんて別のところで評価されている。っていうか奴ら既にテニュアなんだから……

しっかり論文にどういうコントリビュートをしたのかっていうのを評価して、そのコントリビューションをしっかり点数化・可視化する。まあ最近の論文はそのあたり聞かれることが多くなってきてるけれど、ジャーナルよりも研究機関の方こそがそこをもっとしっかりと評価していくべきなんだろうと思うよ。

そういうシステム作ってかなきゃ、これから色々とだめになっちゃうんとちゃうかなー。

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[2021年9月]近所の森でベリーときのこ狩り! in Finland!

 

フィンランドの一つの名物といえば秋シーズンのきのこ狩り。

フィンランド人たちはこのシーズンになるとソワソワしつつ森の中へと消えていくわけだけど、きのこの場所は大切な秘密ってことであまりシェアされないってのが伝統。

とは言いつつも、最近では結構気軽に教えてくれる人もいるってことで、今回は嫁のきのこプロの友達に教えてもらい、うちから比較的近場の森にきのこ狩りへとでかけてきた。

きのこ狩りに準備するもの

  • 森の中は割とウェットなので濡れにくい靴
  • マダニやら虫よけで長袖長ズボン。まあきのこのシーズンには大概長袖だろうけれど。
  • きのこの処理をするナイフやらハサミやら
  • 土塊を落とすのに毛ブラシがあるとなお良い
  • きのこを持って帰るのに各種サイズのビニル袋やらバケツやら

フィンランド・きのこ狩り当日

2021年の9月の5日。晴れた日曜日だったので、自転車とキックボードで森へ向けて出発。

森はうちから30分ほど。まあ子供のキックボードの速度に合わせてってことなので、そこまで遠いわけでもない。

たどり着いたのは大きめの森林公園の外れ。時折お散歩やジョギングしている人がとおりかかるくらいの、まあ普通のフィンランドの森って感じの場所。

林道からぱっと目につくのはベニテングタケがほとんどなんだけど、きのこ自体はいっぱい生えている感じがする。

というわけで、早速砂利道の林道から外れて、森の中に足を踏み入れる……とは言っても、踏み鳴らされて人がそれなりに歩いてる感じの道ができてるのだけどね。

さて、狙うのは松や杉の木の根本や倒木の近くなどなど。

目を凝らして探すわけなのだけど、これがなかなかに難しいもの。

最初の方にポルチーニが結構生えているとこがあったのだけど、残念ながらここはちょっと育ちすぎな感じ。一応石づきを切り落としてビニル袋に突っ込みつつ、他の場所を探していく。

正直私は全くきのこ狩りの才能がなかったみたいでほとんど見つけられなかった。

一方、嫁Xは才能があったようで、結構次々とポルチーニを探り当てていた。

たまたまかもしれないけど、ブルーベリーの葉っぱの中に結構埋もれていたな。

ポルチーニ

こんな感じの綺麗なのが見つかると嬉しいもの。

私はその後2個だけ生えていた小さなカンタレッリ(アンズタケ)を発見。一番見間違えにくいきのこということで、これが見つけられたのは良かった。生えてた場所はポルチーニのとことはちょっと雰囲気が違かったので、まあそういうものなのかもしれない。

松茸見つからないかな〜なんて結構長いこと松周りをうろちょろしてみたりしたのだけど、結局収穫はこのポルチーニとアンズタケだけだった。

嬉しいサプライズはブルーベリーがまだ結構なっていたこと。息子のL君はきのこそっちのけで、ひたすらブルーベリーの収穫に励んでいた。

ポルッカ

それからポルッカも結構生えていて、結構今年のポルッカは味が良かった。うちの一番近くの森にはポルッカ見つからなかったから、ここで見つけられたのは良かった。今度はベリー狩りもここの森に来ることにしよう。

そんなこんなで2時間ほど森をうろちょろして初のきのこ狩りはおしまい。

比較的初心者向けの場所って感じだったので、あまり疲れることもなく最後まできのこを探し続けることができた。

ヌークシオとかもいいんだけど、車ないとたどり着くのが大変なんだよねえ。

フィンランドでのきのこ狩りを終えて

さて収穫したきのこは念の為嫁の大学にいるきのこプロの友人にチェックしてもらったのだけど、まあわかりやすいポルチーニとアンズタケってことで全く問題はなかった。

問題があったのは、最初の方で収穫したおっきなポルチーニを詰めといたビニルバッグ。既に虫食いが始まっていたのか、かなりの数の5mmくらいの線虫が大発生。どのポルチーニから湧いてるかもわからなくなってしまったので、そのバッグ丸々諦めることになってしまった。

育ちすぎてるきのこはあまり美味しくないらしいし、こういう虫喰いの問題も出てくる。食べられないわけじゃないらしいけれど、次からはスキップだな。

ちなみにきのこは3日ほどで食べられる大きさに育つってことで、生える場所を知っていれば全く収穫がないってのはあまりないそう。人気の森は曜日次第で当たり外れが出てくることになるから、うまいことタイミングを見計らうと良いかもしれない。

きのこ その2

こちらは嫁の友達が近くで採取しておすそ分けしてくれたキノコたち。美味しくごちそうになりました。

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7月14日、2021年のベリーシーズンが始まりかけている in Finland!

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繊維試料のX線散乱に関する雑記 その3

 

ほとんどは調べ物しながら適当にメモとってる感じの単なる雑記です、その3。時折適当に間違って書いちゃったとことかしれっと修正してたりします。何らかの検索ワードでここにたどり着いちゃてる人はあまり信用なさらず、へーん、って感じで読み流してください。

繊維軸方向に平行に飛ぶ散乱(子午線散乱)

一般的な原料一つの繊維試料の場合だけど、この子午線方向の散乱は繊維に沿った結晶と非晶の繰り返し構造を見ることがほとんど。非晶がほとんどない連続結晶繊維の場合、子午線方向にはほとんど散乱がない場合もある。

超小角にいけばポアの縦方向のサイズの散乱が出てくる。それっぽい言葉で言えばポアの長さ方向のshape functionの1次元フーリエ変換ってことになるようだけど、まあ長さの逆数になるので普通はべらぼうに長いポアの長さ方向の小角散乱は考慮しなくて良い場合が多い。

というわけで、この方向に何を見るのかと言うと、(ある場合は)繊維方向の結晶と非晶の繰り返しだけということになる。それで繊維状ポリマーの場合は大概非晶と結晶が規則的に並ぶことになるので、回折強度として現れてくることが多い。

詳しいことは書かないけど、回折から何が抽出できるのかだけ。

子午線の回折パターンをぱっと見てわかること

大雑把にいうと回折が何個あるかで結晶(非晶)の形や、2次元配列がわかったりする。回折は2個(2-point)か4個(4-point)。1次元データしか取れない装置を使ってると、これがわからないので注意が必要。

わかりやすく言うと……

Rule et al. Macromolecules 1995, 28, 8517—8522

の図1のようなイメージ。

2個の場合も4個の場合も構造次第で回折の強度分布が変わってくるので(eyebrow-typeとかbutterly-typeとか呼ぶ)、そういうのもパターンを見るだけでなんとなくどんな構造を取ってるのかがわかる。

ちなみに2個の場合でも4個のがくっついちゃってるだけって解釈されることも多いので、2個だからシンプルな構造とは必ずしも言えない。

回折の強度ピーク位置からわかること

  • 繰り返し構造を取る結晶+非晶の長さ(long period)
  • 4-pointの場合は繊維内での結晶の傾き or 結晶と非晶の作るマクロラティスのズレ

まあこれは回折の強度ピークまでの距離と角度を測るだけなので、すぐに値が出せる。最も4-pointの場合は、その値をどう発表するかってのは色々ある。

回折強度からわかること

  • 絶対強度から結晶と非晶の体積比(ただし、強度を適切な条件下で取得している必要がある)
  • 強度の広がりから持続長(coherence length、広角のシェラー式的な計算。バリバリの小角屋さんからは文句が付く可能性がある、というか文句を付けられてリジェクトされたことがある)。ラメラ結晶なりのサイズを反映する。

このあたりがぱっと解析してわかること。あ、いや結晶・非晶比の値は変換計算が大変だな。

まあこんな感じのことを式でパラメタライズしていくと、3Dモデルの作製へって話しに伸びるのだろうけど、実際にそこまでいくのは大変。

子午線方向回折の幾つか代表的な解析方法

(1)子午線方向の強度を投射して(Intensity projection)1次元プロファイルを解析

クラッキーカメラの原理と同じということで、繊維軸の垂直方向のスライスの積算強度を(Q_z VS I_total(Qz)って感じか)プロットして解析する。

もちろんこれだと異なる2-pointと4-pointから同じプロファイルができちゃったりするわけだけど、だしたいのは繊維軸に並行な方向での2phaseの相関関係なので問題はないってこと。逆に言うと回折の広がりについて深く考慮せずに構造情報を抽出できるはずで、一度導入してしまえば割と単純なのに言えることも多くて良い感じの方法。

これはRulandあたりからのドイツ系のチームの流れなのかな。最近でもチラホラ各所から論文が出ている。例えば……

ACS symposium series, Vol. 739 (2000), 41–56

などは、この系列のお仕事がよくまとまっている記事。

プログラム導入はちょっと大変そうだけど、最近中国の研究者がPythonで書いたプログラムを発表してたりもする(今のところは然程引用されてないかな、私も内容やプログラムはチェックしていない)。そういうのを利用するのも悪くないのかもしれない。

(2)結晶・非晶の3Dモデルと配向分布で回折の広がりを計算する手法

実はこの方法はいろんなグループからたくさん出てるけれど、有名所はこのあたり。

Gerasimov et. al. Kolloid-Z. u. Z. Polymere 250, 518-529 (1972)

日本人グループもこんな感じの手法で幾つか論文を出してたりする。

Yabuki, K., Iwasaki, M., & Aoki, Y. (1986). Textile research journal, 56(1), 41-48.

個人的にはやっぱりこういうモデルベースのアプローチが直感的にわかりやすいので好き。でも同じグループから何報も論文が出てるって感じではないし、大変さもあるんだろうな。

レビューアによっては解析がモデル依存だって怒られたりするし。

(3)回折形状の解析を真面目にやる方針

2次元データの解析を1次元プロファイルの連続とみなして解析する方法など。

GrubbとMurthyがめちゃくちゃいっぱい論文を出している。近年の論文はもうちょっと踏み込んだ解析をしてる気がするけれど、いずれにしろこの分野の大御所グループの一つ。

楕円形の回折ピークの広がりとラメラ結晶の配置について、たくさんの繊維ポリマーを解析して深い考察を進めてきている。

私はポスドクはこういうグループに潜り込むべきだったんだろうな、と最近では思ったりしているが後の祭り。それにそんなのは今だから思うことで、そのときに最適なポスドク先を選べる学生って凄いよねー。

(4)その他面白いなと思った解析

Koerner et al. Macromolecules 2008, 41, 4709-4716

モデル作ってフーリエ変換で回折図を作って評価しようというアプローチかな?最近みつけて面白いなと思ったんだけど、まだ良く理解していない。簡単に実装できるならやってみたい方法。

という感じで子午線方向のまとめは一旦おしまい。

 

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ウェブサイトの言語周りについてお勉強を始めよう in Finland!

 

ちょっとやりたいことが幾つかあってそのためにウェブサイト用の言語を学んでおきたいなと思っている今日このごろ。

よく使われてそうな言語はhtml、css、javascript、それにphpって感じか。

ざっと見た感じ、htmlがウェブを作るので、cssがデザイン、javascriptで動かして、phpで便利化するって感じなのかしら。

wordpressはphpでってイメージが強いけど、結局全部使わないとまともな見た目と動作にはならないってことかな。ちょっとずつ全部勉強しながら必要なものを深く学ぶ感じで良さそう。

しかしjavascriptとphpでできることの差がよくわからないな。

wordpressの編集内で簡単に走らせようと思ったらjavascriptの方が良いのか。phpはfunction.phpを書き換えないといけなさそう。

ま、もちろん、そんな簡単にわかるわきゃないので、追々でいっか。

ワードプレス投稿内でhtmlで遊んでみる

まあとりあえずはワードプレス内で遊びながら学んでいこうということで……

テキストモードで打ち込んでそのまま動きそうなのはhtmlとjavascriptっぽいけどとりあえずhtmlで。

まずは……


htmlで入力ボックスの作製。ビジュアル編集ではなく、テキスト編集の方で……

<input type="text">

と書くだけ。

説明を入れたかったら……

<label>テスト入力:<input type="text" value="見えるかな?"></label>

という感じ。

もう少しそれっぽいのを作ると。

<p>
<label>数値1を入力してください:<input type="number" value=0 id="num1"></label>
</p>
<p>
<label>数値2を入力してください:<input type="number" value=0 id ="num2"></label><input type='button' value="get" id="getButton">
</p>

getはダミー。

そしたら、こんな感じで足し算でもしてみましょうか。

<form oninput="result.value = Number(A.value)+Number(B.value)";>
<input type="number" name="A" > +
<input type="number" name="B" > =
<output name="result">0</output>
</form>

ぬ……これだと動かないな。なぜだ。あ、テキストモードからビジュアルモードに戻ると、oninputのところが消えてしまうな……なぜだ。

色々追加。

<html>
<body>
<form oninput="result.value = Number(A.value)+Number(B.value)"> 
<input type="number" name="A" > + 
<input type="number" name="B" > = 
<output name="result">0</output> 
</form>
</body>
</html>

こういうタグ付けは意味なさげ。やっぱり単純に<form>のところの記述が消えちゃうのが問題っぽい。

ていうかhtmlテストサイトで試すと普通に動くし……ってことはwordpressに書き込めない方の問題か。

<form>
<input type="number" name="A" > + 
<input type="number" name="B" > = 
<output name="result">0</output>
<input type="button" onclick="result.value = Number(A.value) + Number(B.value);" value="calc">
</form>

これもだめね。onclickの記述が消えてしまう。つまりoninputとかonclickが私の環境のwordpressで動いてないってことか。

結局のところhtmlのoninputとかonclickが通常設定では使えない模様

ここまで来て何個かそれっぽい説明をしてるstackoverflowを発見。

やはりoninputとかonclickが、使ってるテーマかwordpressかで止められている感じか。function.phpを書き換えればいけるってことのようだけど。

それからショートコードを使えばいけるかも……なんて記述もあったので、次はそれを試してみようかな。

んー……でもなんだか最終的に目的にしてるものを実装するには、この書き方だと難しい気がしてきたな。どうせhtml, javascript, php勉強するなら、自作サイトを立ち上げたほうが良い気がしてきた……

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繊維試料のX線散乱に関する雑記 その2

 

ほとんどは調べ物しながら適当にメモとってる感じの単なる雑記です、その2。時折間違ってるとこ修正してたりします。間違ってここにたどり着いちゃてる人は、へーん、って感じで読み流してください。

繊維ポリマーからの散乱・小角領域(SAXS)

解析前の前提として密度の差が重要

基本的に小角X線で見てるのは散乱体と周辺マトリクスの密度の違い。X線なら電子密度。

ポリマーの場合は大雑把に、非晶・結晶・空気(もしくは溶媒)になる。ポリマーが2種類以上の場合はもちろんフェイズが増える。ついでに階層構造なんかもあったりするので、2つの構造サイズの境界領域なんかでは更に散乱パターンが曖昧になり解析が複雑になる。

それはともかくとして、固体の場合はtwo-phaseにシステムを仮定して解析することが多いのだけど、空気の入ってるポアがあることは多いのでそう簡単にtwo-phaseじゃないことがほとんど。
妥協として各サイズ領域(散乱ベクトル、Q-range)において条件付きtwo-phaseって感じで解析してくことになるのかな。繊維の結晶やエレメンタリーフィブリルサイズに比べれば、一般的にポアサイズの方がでかめで散乱が被らないことが多いし。

コンポジットのサンプルとかで複数の構造体が絡んでいるような場合(固体で既に3-phaseなシステム)はご愁傷さま。よっぽどラッキーな場合以外は、解釈に苦しんだ上でレビューアにいじめられることになる。

さて普通のポリマー繊維に話を戻すと、便利とも言えるし厄介だとも言えるのが空気部分の溶媒置換。これで各フェイズの散乱強度比を変えられるので、内部構造の推定が容易になる。

カーボンなんかではグリセロールなんかがよく使われるし、普通のファイバー試料では水や希薄塩溶液などが良く使われる。新しく実験計画を組む場合は、まず入れといた方が無難な実験。

ただ、溶媒の浸潤で構造が変わるって可能性はもちろんあるし、すべてのポアが溶媒にアクセシブルかどうかも条件次第だし、解析にはやはり注意が必要。

それから結晶と非晶の構造が見えるかどうかは、素材次第。非晶と結晶の密度差が近いようなサンプルは散乱強度が弱くなるし、非晶と結晶のサイズが近しい場合は散乱強度が強くなったりする。

元々回折が見えてない場合は解析できないのか? というとそういうこともなくて、この場合は結晶と非晶の密度差を上げる処理をしてあげれば良い。よく使われるのは非晶を選択的加水分解する、非晶を溶媒和させる、結晶もしくは非晶を重水素化して中性子でデータを取る……などなど。

まあどの相を見ようにも、散乱密度差を見てるってのが重要ってことでしょう。

パウダーでの実験と解析

いろんな汎用的な式ってパウダー用にできてるから、パウダーで実験しとくと楽だったりするんだよね。小角でも広角でも。サンプルの厚さやコンディションも調整しやすいし、定量的な構造パラメータに持ってきたい時も粉末試料が一番。

まあこれも粉末化で構造が変わるってサンプルも結構あるものだし、繊維試料の場合は結晶が長いので、完全な粉末結晶っていうのは作り難い。

基本的には平均でもライン抽出でも、散乱パターンを1次元の散乱強度プロファイルになおして、その形にちょうどよい構造モデルの計算式を当てはめるってことになるのだろう。

絶対強度でデータを取ってれば、一応定量性があるってことになる。

まあ、このパターンで解析が済むなら、色々と教科書もウェブ資料も論文も整ってるから素敵。

小角の繊維図の解析

まあ繊維試料を使ってりゃそうなんだけど、ほとんどの場合は繊維散乱を扱う必要が出てくる。

何が見えるかって言うと、繊維軸方向に平行に飛ぶ散乱と、繊維軸方向に垂直に飛ぶ散乱、そしてたまに混ざっている配向性のない等方性の散乱。

繊維の何かしらの配向解析

もちろん繊維試料なので配向解析は重要。同じ原料高分子を用いてさえいれば、どのレベルにしたって配向が一番繊維の強度評価に効いてくるので。

というわけで何かしらの配向的特徴を持つ散乱、赤道のストリークなり、子午線の回折なりの強度の広がりを評価する。

赤道のストリークの場合は、適当な散乱ベクトルの位置で方位方向のプロファイルを作って方位角での強度分布をHermans Parameterにでも直す。小角用の式も幾つかあるので、そういうのを使っても良い。

ポアやフィブリル自身に配向分布が余りない場合は、どの散乱ベクトルで評価しても配向パラメータはさほど変わらず。むしろこの場合は散乱の広がりは長さ方向のサイズに影響されるってことになるのか。

綺麗に配向分布している場合は扇形のように回折が広がる。この場合は散乱ベクトルの切り取り次第で算出される配向度が変わってしまうので、1次元で強度トップになるような散乱ベクトルで配向評価をするのが良いか。小角だとその見積もりも楽ではないが。

ついでにこれも他の構成フェイズの影響を受けるような構造の場合、そもそもそっちのフェイズからの影響を見てるって可能性も出てくる。

その場合は、まあ各散乱ベクトルで全部配向度を計算して、どう変化してくかってことを追っていく必要があるんだろうな。計算自体は簡単にプログラムが書けるけど、パラメータ解釈の方は容易ではない。

子午線方向はもっと厄介。強度分布が結晶と非晶ユニットの構造サイズの影響も大きく受けるので、配向分布だけの影響を見てるわけじゃないので。そこを分けようってなってくると、構造の解析と同時に進める必要が出てくるわけで、結構大きい解析プログラムを書く必要が出てくる。

またちょっと長くなってきたので、赤道と子午線の放射方向の強度の扱いについてはまた別の投稿で。

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俺はオフィスメイトとは永遠に分かりあえない in Finland!

 

ネタタイトルなだけであって、シリアスな話ではない。

今大学のオフィスは予約制で私の部屋は一人定員なので、オフィスをシェアしてるオフィスメイトに会うのはかなり久しぶりだったのだ。

相変わらず飄々としてるイケメンで、ちょっと遠くだけどステップアップになるジョブオファーをもらったそうで、おめでとうございます。

ネイチャーサイエンスこそないもののその下レベルの論文連発してるし、たくさんの学生の面倒しっかりみてるし、コミュニケーション能力高いし……正直高齢ポスドクやってるのがとても不思議な人の筆頭だったわけだけど。

本人はフィンランドに残りたいらしいから、まだオファーをアクセプトはしてないようだけど。

 

さて……そんなこんなで、最近の状況になんて話していたら、いつのまにやら子供が産まれてパパになっていたそう。こっちのほうもおめでとうございます!

ってそれはともかくとして、彼の話しを聞いていると子育てってやっぱり子供の個性が強いんだなーっていう印象を受けたのだ。

まずもって起きてるときにそんなに泣かないそう。MJKよ。

かといって、必要なときには泣かずにぶーぶー言って問題があることを教えてくれる。夜泣きもほとんどせず、むしろ両親の方が気になって自分で見に行くなんて状況らしい。どこの聖人の子供だって感じだよねー。あれか、例の異世界転生してきて意識のある子供なのか?

しかし、こういうのって人種的な違いも結構あるのかなー。うちはAsianAsianだけど、彼のとこはEurope-Asianって感じのカップルなので。言われてみるとEurope系の人は割と飄々と子育てしてることが多いような気もする……いや、しかしヨーロッパで住んでれば、それなり以上に両親の援助とかもあるだろうし、またそれは別の側面もあるか。

職場復帰などを見てると、出産後の女性の回復なんかはこっちの人はだいぶ早い印象がある(アメリカもそうだったな)。赤ん坊の個性にもそれなりに影響もあるものなのだろうかねー?

日本のブログやtwitterなんかを見てると、やっぱり大変だーって話しの方が目についちゃう。自分が結構大変だったからそういう話をなんとなく追っちゃってるところもあるんだろうし、大変な人ほど情報発信してシェアしたくなるってところもあるのかな。

子供は手がかかっても可愛いものだけど、睡眠時間とか質が最初から楽ならそれはもちろんそっちのほうが良いよねー……ってことでタイトル回収をする投稿でした。

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いやあ、秋の気配が感じられるようになってきましたねえ in Finland!

 

もうすぐ9月になるわけですが、最近めっきり涼しくなりましたよね。日差しのない日は外に出るにも、結構服を着込む必要があったり。夜にヒーターを強めないで寝ると、朝方結構寒かったり。

真夏の耐え難い暑さや蒸し暑さがない一方で、こういう短い夏というのは少しのもの寂しさも感じるもの。フィンランドの8月は後半から秋って感じで、身体に夏らしさを感じるのは7月が中心だからねえ。

9月はどんどん寒くなり、10月はどんどん暗くなり、悪名高い暗き11月(暗くて雨が降って雪はまだ降らない)がやってくるわけだけど、個人的にはこのシーズンは割と好きだったりするんだよな。
むしろどんどん日が長くなって夜が暗くならない5・6月あたりの方が、精神に蓄積するダメージが大きい気がしている。

このあたり人によって結構違うから面白い。

外国人は11月が苦手って言ってる人がやっぱり多い気がするねえ。

逆にうちのグループのネイティブフィンランド人のPhDの学生は、開けない冬、というか寒くて雪まで降ることのある4月あたりが苦手と言ってたし。

まあ何事も一長一短。良い点を楽しみ悪い点をなるべく気にしないような心持ちで生きて、バランスを取っていくのが良いのでしょうねえ。

日本の蒸し暑い残暑をもう一度体験したいとは思わないけれど、懐かしさは感じるもの。生まれ故郷だからだろうけど、日本の四季ってのはバランスが良かったなあって感じてたりする今日この頃。

さて、とめどなく綴ってしまったけれど、今日は久しぶりに職場に出勤してのお仕事。今日も1日を頑張りましょうか。

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下の階の住人に床騒音を指摘していただいたお話 in Finland!

 

タイトル通り。

不満を言ってるわけじゃないのよーの枕詞から始まるA4・2枚の大作を頂いてしまった。しかし、フィンランドは管理会社経由でもなく、お手紙でご連絡ってのが一般的なのかな? あ、いや、一度尋ねたけど留守だった的なことは書いてあったけど、気づかなかったな。

さて、本題だけど、おもちゃとか足音とか、子供の床周りの騒音ってとてもうるさいよねってことで、ご不満はとてもごもっともです……ってことなのだけど。いや、フィンランドでなかろうとも、日本でもよく聞く話だよねー。

でもなんとなくフィンランドって子供の動きには甘いイメージがあったし、実際に自分に起こるとちょっと驚いてしまったりしたのだ。

もちろん子供がひどすぎる音を立てているような時は注意するんだけどさ、ずっと一緒に暮らしてると少しずつ慣れてきてしまうのが問題だよね。このくらいならいっかってのが少しずつ増えてしまうわけだけど、他の人は必ずしもそう感じないわけで。

このあたりは子供のパーソナリティーもでかいとは思うけど……この点では残念ながらうちの子はとてもノイジー、注意するとわざと暴れまわって騒音をたてるような気質もある。もちろんそれを補ってくれるいいところがたくさんあるわけだけど、そんなのはよその人には関係ないからねー。

というわけで、お知らせしてくれた下の階の住人さんを訪問して謝罪のご挨拶。ちょっと色々他のことも話したりしたけど、「騒音ごめんなさい、改良します、改善されてなかったらもう一度お知らせくださいー」と伝えて戻ってきたのだ。

あえてこちらの言い訳を上げるならば、上のフロアからの騒音、というか物音は一切聞こえないんだよね。それで、割とフロア防音が良いマンションだと思ってしまっていたってこと。

実際は上階の人がとても静かな方だったのか、もしかしたら今誰も住んでないってことが正解の模様。フィンランドってアメリカとかと比べるとなぜか玄関前とかで人にほとんど合わないから名札かかってるなら誰か住んでるとみなしてるんだけど……さすがキープディスタンスの国だ。

前のマンションに住んでた時は上の階から結構音が聞こえてきてたので、子供にももう少し細かく注意してたんだけどねえ……

子供のノイズは抑えきれないところがあるから、ちょっと難しいところもあるんだけど……子供の部屋に防音できそうなマットを敷くのと、なるべく静かにするように頑張ってもらうしかなよねえ。

まあ、だいぶ大きくなってもきたし、少しずつ向上を目指しましょう。

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繊維試料のX線散乱に関する雑記 その1

 

ほとんどは調べ物しながらメモとっただけの単なる雑記です。時折間違ってるとこ修正してたりします。間違ってここにたどり着いちゃた人は、へーん、って感じで読み流してください。

繊維ポリマー結晶からの散乱・広角領域(WAXS)

広角領域(WAXS)に関しては、まあだいたい結晶からの回折だけ見てるので、結晶配向なり各格子面方向ごとの結晶サイズなり、バルクに対する結晶にの量なりを評価すれば良い。まあ、頑張ればそれなりに定量性のあるデータ解析になる。

繊維回折でそのまま全部評価できるけど、結晶化度はパウダー回折から算出しといた方が突っ込まれにくい。ただ、繊維試料を完全なパウダーとみなすのは難しいし、粉末回折データでリートベルトしたからって完全な定量性があるわけではないと思う。

ちなみに繊維回折でも結晶サイズが大きい場合はそれなりに原子配置の構造解析も可能。まあ、今更原子座標を得たいポリマー結晶なんてそんなにないだろうけど。

一応各種出しといた方が良い値を以下に。

結晶配向

Hermans Parameterを出すのが一般的だと思う。回折の広がりの半値幅あたりを使ったって、傾向を見るだけならさほど変わりはしないのだがね。

さて、Hermans parameterを使う時はどこの軸とどの結晶面の配向を見てるかをメソッドに書いて上げた方が優しいとは思う。大概書いてない。たとえばだけど……

Grubb and Jelinski. Macromolecules 1997, 30, 10, 2860-2867 (https://doi.org/10.1021/ma961293c)

この論文くらい丁寧にメソッドを書いといたほうが親切で良いと思う。

さて、繊維軸と結晶長軸(c軸)方向の回折で値を出すのが一般的だと思うが、子午線の(00l)面は割と回折が見えにくいことも多いので繊維軸を照射X線に傾けて強化しといた方が突っ込まれにくい。ただどっちでも値は一緒になるはず、って確か上の論文に書いてあったはず。

赤道の強い回折(hk0)から結晶のクロスセクションの方とのずれを出してもいいけど、この場合はc軸とのずれの値にする場合は変換処理が必要なので注意。残念ながらこの変換処理は完璧ではないので、c軸から直接出した場合と値はズレることが多い。

まあ結局どっからどう出したのかをメソッドに丁寧に書いておくのが重要ってことか。

結晶化度

非晶と結晶の体積分率。X線の回折強度の式を見ると、強度は単位格子の数由来になるので、定量的な結晶量の評価ができるということになる。このあたりについてはquantitative phase analysisなんてググると色々情報が出てくる。

もちろんX線強度から様々なバックグラウンド除去し、ローレンツ因子や配向因子、吸収因子などで補正する必要があり、多物質での定量をする実験では内部標準などを使う必要が出てくる。このプロセスをガチでクソ真面目にやるのは大変で、そんなことをやっている論文を見た記憶はあまりない。

……のだけど、結晶多形(allomorphs, polymorphs)が混ざったサンプルの場合は結構色々と条件をスキップできて、各結晶の回折の構造因子や単位格子体積の比から結晶量を定量化できたりする。

結晶と非晶はその一部なので、結晶化度は回折強度を適切に非晶面積と結晶面積に分けることができれば、定量化できるということになる。まあ非晶のstructure factor構造因子ってなんぞやってことになるので、やっぱり数値はいい加減になってしまうのだろうけれど。

というわけで結晶化度は面積比で出しておくと、定量的な結晶評価をしようとしてるんだよ! っていう言い訳ができる。

ただ他の伝統的な手法を使ったほうが、%としては他の実験値と合うような良い値になるんだけれどねえ。

結晶化度は真面目に出しても適当に出してもレビュー中に突っ込まれやすいので、面倒くさいから余り使いたくない値。

結晶サイズ

回折幅を利用した、有名なシェラー式で計算できる。

バックグランド減算をしっかりやるとそれっぽい値が出てくるので便利。

でも基本的に可能な最小値を出してるってことと、やっぱりだいぶプロセス由来になってしまうってところで、難しいところもある。

5nmくらいの理想結晶から回折パターンを計算して、そのプロファイルを5nmの結晶サイズになるようにフィッティングするのはそう簡単なことではない。

また回折幅は結晶サイズだけでなく、結晶の乱れ(ディスオーダ)からも増幅する。同方向の複数回折からそれぞれの寄与を評価する方法もあるんだけど、これもまたそう簡単な方法ではない。

まあ、でもどうせX線取ったなら出しといた方が良い値。この値も色々突っ込みどころはあるけれど、そう簡単に修正できるものじゃないから厳しく突っ込まれないことのほうが多い。

WAXSはこんな感じかな。まあ小さい結晶に関してはシミュレーションと組み合わせるのが常道になってる気はするけど、従来の解析に意味がないわけではない。新しいマテリアルを使ったら、このあたりは出しておくのは重要な値だと思う。

なんか少し長くなりそうなので、小角はその2に投稿を分ける。

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D

久しぶりにテーマをアップデートしたら色々と設定が消えてるなー

うーむ。

久しぶりにワードプレスのテーマにアップデートかけたら色々と設定が変わってる気がする。

ワードプレス自体がアップデートされていることもあるし、自分でphpいじっていたところを忘れてたってところもかなりありそう。

特に広告関連の設定が軒並み消えちゃってるので、とりあえず一時的に自動広告をONにしておく。

自動広告そんなに良くなかった印象があって、変なところに広告が入ったりするかもだけど……私がチェックしたのは始まった頃だったから、その頃よりはたぶん良くなってるんじゃないかなと期待はしてるんだけど。

できれば元の設定に戻していきたいとは思ってるけど、結構phpの書き換えは大変だった気がするので……まあちょっとずつだな。

しかし、やっぱり子テーマは使わないとだめだね。以前何かしら設定がうまくいかなくて本サイトでは子テーマ入れてなかったんだけど、今度こそしっかり勉強して使おう……

D