wordpressにショートコードでhtmlコードを導入してみよう

 

前回の投稿でワードプレスのテキストモードではonclick、oninputなどの機能が通常設定のままでは使えないことがわかった。

内部リンク:ウェブサイトの言語周りについてお勉強を始めよう in Finland!

ウェブサーチで見つけた一つの解決策はショートコードの機能を使う方法。今回の投稿ではショートコードでhtmlを走らせることを目的とする。

wordpressのショートコードの使い方

公式ページは以下のリンク。Developerの方のリンクを貼っとくけど、codexの方にもある。

外部リンク:WordPress API Shortcode

編集する必要があるのはfunction.php。ってやっぱりwordpressで何かしようと思うとfunction.phpをいじる必要が出てくる模様。

function add_text() {
$code = 'this is shortcode test for showing text';
return $code;
}
add_shortcode('addt','add_text');

function.phpに書き加えたのはとりあえずこんな感じ。

んでaddtを[]で囲むとショートコードが使えることになる。

アウトプットは以下のような感じ。

this is shortcode test for showing text

よくできました、ちゃんちゃん……っておしまいにしたいところだけど、もう少し続く。

ショートコードならばhtmlのoninputやonclickは動く仕様

さて、本題はこちら。

html直接打ち込むとテーマ設定か何かに蹴られて使えなかったoninputをワードプレスブログで動かしたい。

oninputのコードから作ったショートコードはこちら。

+ = 0

おお、動いたっ!

onclickはどうだろうか?

onclickのコードから作ったショートコードはこちら。

+ = 0

こっちも動いたっ!

ってことで無事ワードプレスのブログ内でユーザーインプットを受けて、ちょっと処理して出力するってことができました。

で、なんでコードを貼らないんだってことなんだけど……整形済みテキストでコードを近くに貼るとなぜかショートコードの方が動かなくなる変なバグがある。

というわけで一応スクショをここに貼っておくけれど、htmlコードをコピーしたかったら内部リンク:ウェブサイトの言語周りについてお勉強を始めよう in Finland!)を見て欲しい。いやコピーするほどのものじゃないけどさ。

しかし、これ毎回sftpでhtml直編集しないといけないってのがかなり面倒くさいな。ワードプレス内でテーマのphp編集できなくなってるのも解決するべきだろうか……

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科学論文のセカンドオーサーというクソポジションについて

 

ちょっと前にPhDの学生から「お前この論文にえー仕事したからサードオーサーからセカンドオーサーに格上げしたるでー」っていうありがたい言葉を頂いて思ったことを書くくだらない雑記。

 

いや、普通にファーストオーサーくれって言いたいくらいの仕事量つっこんでくるんだけど‥‥正直コーファーストのオファーがないのがマジで不思議な仕事だったわ。

他の論文でもそう思ったことはあるんだけど、そのバランス考えるのってPIの大切な仕事だよね。特に論文作るのに分業がますます進んでくこれからはさ。旧態然の仕切り方だからって流してたらほんと恨まれまっせ。

この論文と最近のもうひとつの論文はホントに意味わかんかったわ。仕事始める段階に戻れるなら間違いなく断ってるのは確か。ってか残り少ない研究時間の中では、あの近辺からの仕事はもううけん。

似たような仕事突っ込んでセカンドオーサーになったもう一つの論文では全くそういう感慨がないから、ファーストオーサーからのリスペクトがあるのかってことも大きいんだろうけどさ。

 

そもそもセカンドオーサーって著者が3人しかいなきゃ誰でもセカンドになるわけだし。全く業績評価にならんし。それを誇らしげに与えられる意味が全くわからないし。

シニアオーサーってかラボのビッグボスとかにそう言われるなら、まあ納得するっきゃないってわけだけど……

PhDの学生にできるだけ協力するって方針のラボだったからそれに従ってクソマジメにデータ出して、考察まで書いてやったけどさ、そのクソ努力した結果が”セカンドオーサーにしてやるわ”って割とクソな世界だよね。その見返りがあるってんだったら良いけど、もちろんそんなわけはないわけで。

いや結局のところマネージメントはボスの仕事なんだから、それをはしょったボスが悪いんだろうな……もう、ほんとこの世界クソだわ。

研究系以外でもそんなもんだとは思うけど、丁寧な仕事する人間から精神死んでいく世界なんて終わってしまえばいいのに。

辞めるからもういいやって思ってたけど一応言っておく。やっぱりこのシステム頭おかしいよ。

たぶんどの世界だってそうなんだろうけどさ……

ほんと。

 

あー、いや、言いたかったことはそんなことじゃなかった、鬱が進むとだめだな……言いたかったのはセカンドオーサーについてだった。

セカンドオーサーって今回みたいな感じで、たまに恣意的に評価される雰囲気になることがある……だけどセカンドオーサーが何報あるかなんて評価されないんだから、そんなカテゴリはなくすべきだよね。

っていうかこれから研究職に行く人にはセカンドオーサーになってしまうような仕事は勧めないよ。ってかもちろん強いモチベのある人以外には研究職自体勧めないけどさ。同じ努力量にもっとペイする仕事あるし。

ファーストかシニアになれるものだけに注力して、そうじゃないのは後ろの方に名前がのっかるってレベルの仕事に留める。そうした方が全然効率あがるもん。まあ皆そうしだしたら全体が回らなくなるんだけどね。ほんとボランティアが死ぬクソな世界だ。

リラックスな仕事環境に生きてる人たちはセカンドオーサーを重視したりもするけど、それは幸せな世界だよね。科学を押してくのはあの方たちなのだろうけれど、一緒に共同研究はしたくないよね。ってか学生にはそういうグループと働くのは勧めない。

 

ファーストとシニアはまあわからないではないけれど、それ以外の序列がホントに何かに評価されることってあるの? ネイチャー・サイエンスならあるの? そうなら点数化するべきじゃん?

それをめっちゃアピールする人なら意味あるのかもわからんけど、そういうことする人ってそもそも論文0でもコミュ力で押して仕事とれるじゃん?

仕事した人間はコントリビューテッドオーサーのリスト、そこまでじゃない人間はそれ以外のリスト。ファーストの仕事量なんて昨今大してないし、シニアの重要性的な予算とってくるとことか論文のコンセプトを作るところなんて別のところで評価されている。っていうか奴ら既にテニュアなんだから……

しっかり論文にどういうコントリビュートをしたのかっていうのを評価して、そのコントリビューションをしっかり点数化・可視化する。まあ最近の論文はそのあたり聞かれることが多くなってきてるけれど、ジャーナルよりも研究機関の方こそがそこをもっとしっかりと評価していくべきなんだろうと思うよ。

そういうシステム作ってかなきゃ、これから色々とだめになっちゃうんとちゃうかなー。

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D

繊維試料のX線散乱に関する雑記 その3

 

ほとんどは調べ物しながら適当にメモとってる感じの単なる雑記です、その3。時折適当に間違って書いちゃったとことかしれっと修正してたりします。何らかの検索ワードでここにたどり着いちゃてる人はあまり信用なさらず、へーん、って感じで読み流してください。

繊維軸方向に平行に飛ぶ散乱(子午線散乱)

一般的な原料一つの繊維試料の場合だけど、この子午線方向の散乱は繊維に沿った結晶と非晶の繰り返し構造を見ることがほとんど。非晶がほとんどない連続結晶繊維の場合、子午線方向にはほとんど散乱がない場合もある。

超小角にいけばポアの縦方向のサイズの散乱が出てくる。それっぽい言葉で言えばポアの長さ方向のshape functionの1次元フーリエ変換ってことになるようだけど、まあ長さの逆数になるので普通はべらぼうに長いポアの長さ方向の小角散乱は考慮しなくて良い場合が多い。

というわけで、この方向に何を見るのかと言うと、(ある場合は)繊維方向の結晶と非晶の繰り返しだけということになる。それで繊維状ポリマーの場合は大概非晶と結晶が規則的に並ぶことになるので、回折強度として現れてくることが多い。

詳しいことは書かないけど、回折から何が抽出できるのかだけ。

子午線の回折パターンをぱっと見てわかること

大雑把にいうと回折が何個あるかで結晶(非晶)の形や、2次元配列がわかったりする。回折は2個(2-point)か4個(4-point)。1次元データしか取れない装置を使ってると、これがわからないので注意が必要。

わかりやすく言うと……

Rule et al. Macromolecules 1995, 28, 8517—8522

の図1のようなイメージ。

2個の場合も4個の場合も構造次第で回折の強度分布が変わってくるので(eyebrow-typeとかbutterly-typeとか呼ぶ)、そういうのもパターンを見るだけでなんとなくどんな構造を取ってるのかがわかる。

ちなみに2個の場合でも4個のがくっついちゃってるだけって解釈されることも多いので、2個だからシンプルな構造とは必ずしも言えない。

回折の強度ピーク位置からわかること

  • 繰り返し構造を取る結晶+非晶の長さ(long period)
  • 4-pointの場合は繊維内での結晶の傾き or 結晶と非晶の作るマクロラティスのズレ

まあこれは回折の強度ピークまでの距離と角度を測るだけなので、すぐに値が出せる。最も4-pointの場合は、その値をどう発表するかってのは色々ある。

回折強度からわかること

  • 絶対強度から結晶と非晶の体積比(ただし、強度を適切な条件下で取得している必要がある)
  • 強度の広がりから持続長(coherence length、広角のシェラー式的な計算。バリバリの小角屋さんからは文句が付く可能性がある、というか文句を付けられてリジェクトされたことがある)。ラメラ結晶なりのサイズを反映する。

このあたりがぱっと解析してわかること。あ、いや結晶・非晶比の値は変換計算が大変だな。

まあこんな感じのことを式でパラメタライズしていくと、3Dモデルの作製へって話しに伸びるのだろうけど、実際にそこまでいくのは大変。

子午線方向回折の幾つか代表的な解析方法

(1)子午線方向の強度を投射して(Intensity projection)1次元プロファイルを解析

クラッキーカメラの原理と同じということで、繊維軸の垂直方向のスライスの積算強度を(Q_z VS I_total(Qz)って感じか)プロットして解析する。

もちろんこれだと異なる2-pointと4-pointから同じプロファイルができちゃったりするわけだけど、だしたいのは繊維軸に並行な方向での2phaseの相関関係なので問題はないってこと。逆に言うと回折の広がりについて深く考慮せずに構造情報を抽出できるはずで、一度導入してしまえば割と単純なのに言えることも多くて良い感じの方法。

これはRulandあたりからのドイツ系のチームの流れなのかな。最近でもチラホラ各所から論文が出ている。例えば……

ACS symposium series, Vol. 739 (2000), 41–56

などは、この系列のお仕事がよくまとまっている記事。

プログラム導入はちょっと大変そうだけど、最近中国の研究者がPythonで書いたプログラムを発表してたりもする(今のところは然程引用されてないかな、私も内容やプログラムはチェックしていない)。そういうのを利用するのも悪くないのかもしれない。

(2)結晶・非晶の3Dモデルと配向分布で回折の広がりを計算する手法

実はこの方法はいろんなグループからたくさん出てるけれど、有名所はこのあたり。

Gerasimov et. al. Kolloid-Z. u. Z. Polymere 250, 518-529 (1972)

日本人グループもこんな感じの手法で幾つか論文を出してたりする。

Yabuki, K., Iwasaki, M., & Aoki, Y. (1986). Textile research journal, 56(1), 41-48.

個人的にはやっぱりこういうモデルベースのアプローチが直感的にわかりやすいので好き。でも同じグループから何報も論文が出てるって感じではないし、大変さもあるんだろうな。

レビューアによっては解析がモデル依存だって怒られたりするし。

(3)回折形状の解析を真面目にやる方針

2次元データの解析を1次元プロファイルの連続とみなして解析する方法など。

GrubbとMurthyがめちゃくちゃいっぱい論文を出している。近年の論文はもうちょっと踏み込んだ解析をしてる気がするけれど、いずれにしろこの分野の大御所グループの一つ。

楕円形の回折ピークの広がりとラメラ結晶の配置について、たくさんの繊維ポリマーを解析して深い考察を進めてきている。

私はポスドクはこういうグループに潜り込むべきだったんだろうな、と最近では思ったりしているが後の祭り。それにそんなのは今だから思うことで、そのときに最適なポスドク先を選べる学生って凄いよねー。

(4)その他面白いなと思った解析

Koerner et al. Macromolecules 2008, 41, 4709-4716

モデル作ってフーリエ変換で回折図を作って評価しようというアプローチかな?最近みつけて面白いなと思ったんだけど、まだ良く理解していない。簡単に実装できるならやってみたい方法。

という感じで子午線方向のまとめは一旦おしまい。

 

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D

 

ウェブサイトの言語周りについてお勉強を始めよう in Finland!

 

ちょっとやりたいことが幾つかあってそのためにウェブサイト用の言語を学んでおきたいなと思っている今日このごろ。

よく使われてそうな言語はhtml、css、javascript、それにphpって感じか。

ざっと見た感じ、htmlがウェブを作るので、cssがデザイン、javascriptで動かして、phpで便利化するって感じなのかしら。

wordpressはphpでってイメージが強いけど、結局全部使わないとまともな見た目と動作にはならないってことかな。ちょっとずつ全部勉強しながら必要なものを深く学ぶ感じで良さそう。

しかしjavascriptとphpでできることの差がよくわからないな。

wordpressの編集内で簡単に走らせようと思ったらjavascriptの方が良いのか。phpはfunction.phpを書き換えないといけなさそう。

ま、もちろん、そんな簡単にわかるわきゃないので、追々でいっか。

ワードプレス投稿内でhtmlで遊んでみる

まあとりあえずはワードプレス内で遊びながら学んでいこうということで……

テキストモードで打ち込んでそのまま動きそうなのはhtmlとjavascriptっぽいけどとりあえずhtmlで。

まずは……


htmlで入力ボックスの作製。ビジュアル編集ではなく、テキスト編集の方で……

<input type="text">

と書くだけ。

説明を入れたかったら……

<label>テスト入力:<input type="text" value="見えるかな?"></label>

という感じ。

もう少しそれっぽいのを作ると。

<p>
<label>数値1を入力してください:<input type="number" value=0 id="num1"></label>
</p>
<p>
<label>数値2を入力してください:<input type="number" value=0 id ="num2"></label><input type='button' value="get" id="getButton">
</p>

getはダミー。

そしたら、こんな感じで足し算でもしてみましょうか。

<form oninput="result.value = Number(A.value)+Number(B.value)";>
<input type="number" name="A" > +
<input type="number" name="B" > =
<output name="result">0</output>
</form>

ぬ……これだと動かないな。なぜだ。あ、テキストモードからビジュアルモードに戻ると、oninputのところが消えてしまうな……なぜだ。

色々追加。

<html>
<body>
<form oninput="result.value = Number(A.value)+Number(B.value)"> 
<input type="number" name="A" > + 
<input type="number" name="B" > = 
<output name="result">0</output> 
</form>
</body>
</html>

こういうタグ付けは意味なさげ。やっぱり単純に<form>のところの記述が消えちゃうのが問題っぽい。

ていうかhtmlテストサイトで試すと普通に動くし……ってことはwordpressに書き込めない方の問題か。

<form>
<input type="number" name="A" > + 
<input type="number" name="B" > = 
<output name="result">0</output>
<input type="button" onclick="result.value = Number(A.value) + Number(B.value);" value="calc">
</form>

これもだめね。onclickの記述が消えてしまう。つまりoninputとかonclickが私の環境のwordpressで動いてないってことか。

結局のところhtmlのoninputとかonclickが通常設定では使えない模様

ここまで来て何個かそれっぽい説明をしてるstackoverflowを発見。

やはりoninputとかonclickが、使ってるテーマかwordpressかで止められている感じか。function.phpを書き換えればいけるってことのようだけど。

それからショートコードを使えばいけるかも……なんて記述もあったので、次はそれを試してみようかな。

んー……でもなんだか最終的に目的にしてるものを実装するには、この書き方だと難しい気がしてきたな。どうせhtml, javascript, php勉強するなら、自作サイトを立ち上げたほうが良い気がしてきた……

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D

 

繊維試料のX線散乱に関する雑記 その2

 

ほとんどは調べ物しながら適当にメモとってる感じの単なる雑記です、その2。時折間違ってるとこ修正してたりします。間違ってここにたどり着いちゃてる人は、へーん、って感じで読み流してください。

繊維ポリマーからの散乱・小角領域(SAXS)

解析前の前提として密度の差が重要

基本的に小角X線で見てるのは散乱体と周辺マトリクスの密度の違い。X線なら電子密度。

ポリマーの場合は大雑把に、非晶・結晶・空気(もしくは溶媒)になる。ポリマーが2種類以上の場合はもちろんフェイズが増える。ついでに階層構造なんかもあったりするので、2つの構造サイズの境界領域なんかでは更に散乱パターンが曖昧になり解析が複雑になる。

それはともかくとして、固体の場合はtwo-phaseにシステムを仮定して解析することが多いのだけど、空気の入ってるポアがあることは多いのでそう簡単にtwo-phaseじゃないことがほとんど。
妥協として各サイズ領域(散乱ベクトル、Q-range)において条件付きtwo-phaseって感じで解析してくことになるのかな。繊維の結晶やエレメンタリーフィブリルサイズに比べれば、一般的にポアサイズの方がでかめで散乱が被らないことが多いし。

コンポジットのサンプルとかで複数の構造体が絡んでいるような場合(固体で既に3-phaseなシステム)はご愁傷さま。よっぽどラッキーな場合以外は、解釈に苦しんだ上でレビューアにいじめられることになる。

さて普通のポリマー繊維に話を戻すと、便利とも言えるし厄介だとも言えるのが空気部分の溶媒置換。これで各フェイズの散乱強度比を変えられるので、内部構造の推定が容易になる。

カーボンなんかではグリセロールなんかがよく使われるし、普通のファイバー試料では水や希薄塩溶液などが良く使われる。新しく実験計画を組む場合は、まず入れといた方が無難な実験。

ただ、溶媒の浸潤で構造が変わるって可能性はもちろんあるし、すべてのポアが溶媒にアクセシブルかどうかも条件次第だし、解析にはやはり注意が必要。

それから結晶と非晶の構造が見えるかどうかは、素材次第。非晶と結晶の密度差が近いようなサンプルは散乱強度が弱くなるし、非晶と結晶のサイズが近しい場合は散乱強度が強くなったりする。

元々回折が見えてない場合は解析できないのか? というとそういうこともなくて、この場合は結晶と非晶の密度差を上げる処理をしてあげれば良い。よく使われるのは非晶を選択的加水分解する、非晶を溶媒和させる、結晶もしくは非晶を重水素化して中性子でデータを取る……などなど。

まあどの相を見ようにも、散乱密度差を見てるってのが重要ってことでしょう。

パウダーでの実験と解析

いろんな汎用的な式ってパウダー用にできてるから、パウダーで実験しとくと楽だったりするんだよね。小角でも広角でも。サンプルの厚さやコンディションも調整しやすいし、定量的な構造パラメータに持ってきたい時も粉末試料が一番。

まあこれも粉末化で構造が変わるってサンプルも結構あるものだし、繊維試料の場合は結晶が長いので、完全な粉末結晶っていうのは作り難い。

基本的には平均でもライン抽出でも、散乱パターンを1次元の散乱強度プロファイルになおして、その形にちょうどよい構造モデルの計算式を当てはめるってことになるのだろう。

絶対強度でデータを取ってれば、一応定量性があるってことになる。

まあ、このパターンで解析が済むなら、色々と教科書もウェブ資料も論文も整ってるから素敵。

小角の繊維図の解析

まあ繊維試料を使ってりゃそうなんだけど、ほとんどの場合は繊維散乱を扱う必要が出てくる。

何が見えるかって言うと、繊維軸方向に平行に飛ぶ散乱と、繊維軸方向に垂直に飛ぶ散乱、そしてたまに混ざっている配向性のない等方性の散乱。

繊維の何かしらの配向解析

もちろん繊維試料なので配向解析は重要。同じ原料高分子を用いてさえいれば、どのレベルにしたって配向が一番繊維の強度評価に効いてくるので。

というわけで何かしらの配向的特徴を持つ散乱、赤道のストリークなり、子午線の回折なりの強度の広がりを評価する。

赤道のストリークの場合は、適当な散乱ベクトルの位置で方位方向のプロファイルを作って方位角での強度分布をHermans Parameterにでも直す。小角用の式も幾つかあるので、そういうのを使っても良い。

ポアやフィブリル自身に配向分布が余りない場合は、どの散乱ベクトルで評価しても配向パラメータはさほど変わらず。むしろこの場合は散乱の広がりは長さ方向のサイズに影響されるってことになるのか。

綺麗に配向分布している場合は扇形のように回折が広がる。この場合は散乱ベクトルの切り取り次第で算出される配向度が変わってしまうので、1次元で強度トップになるような散乱ベクトルで配向評価をするのが良いか。小角だとその見積もりも楽ではないが。

ついでにこれも他の構成フェイズの影響を受けるような構造の場合、そもそもそっちのフェイズからの影響を見てるって可能性も出てくる。

その場合は、まあ各散乱ベクトルで全部配向度を計算して、どう変化してくかってことを追っていく必要があるんだろうな。計算自体は簡単にプログラムが書けるけど、パラメータ解釈の方は容易ではない。

子午線方向はもっと厄介。強度分布が結晶と非晶ユニットの構造サイズの影響も大きく受けるので、配向分布だけの影響を見てるわけじゃないので。そこを分けようってなってくると、構造の解析と同時に進める必要が出てくるわけで、結構大きい解析プログラムを書く必要が出てくる。

またちょっと長くなってきたので、赤道と子午線の放射方向の強度の扱いについてはまた別の投稿で。

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D

繊維試料のX線散乱に関する雑記 その1

 

ほとんどは調べ物しながらメモとっただけの単なる雑記です。時折間違ってるとこ修正してたりします。間違ってここにたどり着いちゃた人は、へーん、って感じで読み流してください。

繊維ポリマー結晶からの散乱・広角領域(WAXS)

広角領域(WAXS)に関しては、まあだいたい結晶からの回折だけ見てるので、結晶配向なり各格子面方向ごとの結晶サイズなり、バルクに対する結晶にの量なりを評価すれば良い。まあ、頑張ればそれなりに定量性のあるデータ解析になる。

繊維回折でそのまま全部評価できるけど、結晶化度はパウダー回折から算出しといた方が突っ込まれにくい。ただ、繊維試料を完全なパウダーとみなすのは難しいし、粉末回折データでリートベルトしたからって完全な定量性があるわけではないと思う。

ちなみに繊維回折でも結晶サイズが大きい場合はそれなりに原子配置の構造解析も可能。まあ、今更原子座標を得たいポリマー結晶なんてそんなにないだろうけど。

一応各種出しといた方が良い値を以下に。

結晶配向

Hermans Parameterを出すのが一般的だと思う。回折の広がりの半値幅あたりを使ったって、傾向を見るだけならさほど変わりはしないのだがね。

さて、Hermans parameterを使う時はどこの軸とどの結晶面の配向を見てるかをメソッドに書いて上げた方が優しいとは思う。大概書いてない。たとえばだけど……

Grubb and Jelinski. Macromolecules 1997, 30, 10, 2860-2867 (https://doi.org/10.1021/ma961293c)

この論文くらい丁寧にメソッドを書いといたほうが親切で良いと思う。

さて、繊維軸と結晶長軸(c軸)方向の回折で値を出すのが一般的だと思うが、子午線の(00l)面は割と回折が見えにくいことも多いので繊維軸を照射X線に傾けて強化しといた方が突っ込まれにくい。ただどっちでも値は一緒になるはず、って確か上の論文に書いてあったはず。

赤道の強い回折(hk0)から結晶のクロスセクションの方とのずれを出してもいいけど、この場合はc軸とのずれの値にする場合は変換処理が必要なので注意。残念ながらこの変換処理は完璧ではないので、c軸から直接出した場合と値はズレることが多い。

まあ結局どっからどう出したのかをメソッドに丁寧に書いておくのが重要ってことか。

結晶化度

非晶と結晶の体積分率。X線の回折強度の式を見ると、強度は単位格子の数由来になるので、定量的な結晶量の評価ができるということになる。このあたりについてはquantitative phase analysisなんてググると色々情報が出てくる。

もちろんX線強度から様々なバックグラウンド除去し、ローレンツ因子や配向因子、吸収因子などで補正する必要があり、多物質での定量をする実験では内部標準などを使う必要が出てくる。このプロセスをガチでクソ真面目にやるのは大変で、そんなことをやっている論文を見た記憶はあまりない。

……のだけど、結晶多形(allomorphs, polymorphs)が混ざったサンプルの場合は結構色々と条件をスキップできて、各結晶の回折の構造因子や単位格子体積の比から結晶量を定量化できたりする。

結晶と非晶はその一部なので、結晶化度は回折強度を適切に非晶面積と結晶面積に分けることができれば、定量化できるということになる。まあ非晶のstructure factor構造因子ってなんぞやってことになるので、やっぱり数値はいい加減になってしまうのだろうけれど。

というわけで結晶化度は面積比で出しておくと、定量的な結晶評価をしようとしてるんだよ! っていう言い訳ができる。

ただ他の伝統的な手法を使ったほうが、%としては他の実験値と合うような良い値になるんだけれどねえ。

結晶化度は真面目に出しても適当に出してもレビュー中に突っ込まれやすいので、面倒くさいから余り使いたくない値。

結晶サイズ

回折幅を利用した、有名なシェラー式で計算できる。

バックグランド減算をしっかりやるとそれっぽい値が出てくるので便利。

でも基本的に可能な最小値を出してるってことと、やっぱりだいぶプロセス由来になってしまうってところで、難しいところもある。

5nmくらいの理想結晶から回折パターンを計算して、そのプロファイルを5nmの結晶サイズになるようにフィッティングするのはそう簡単なことではない。

また回折幅は結晶サイズだけでなく、結晶の乱れ(ディスオーダ)からも増幅する。同方向の複数回折からそれぞれの寄与を評価する方法もあるんだけど、これもまたそう簡単な方法ではない。

まあ、でもどうせX線取ったなら出しといた方が良い値。この値も色々突っ込みどころはあるけれど、そう簡単に修正できるものじゃないから厳しく突っ込まれないことのほうが多い。

WAXSはこんな感じかな。まあ小さい結晶に関してはシミュレーションと組み合わせるのが常道になってる気はするけど、従来の解析に意味がないわけではない。新しいマテリアルを使ったら、このあたりは出しておくのは重要な値だと思う。

なんか少し長くなりそうなので、小角はその2に投稿を分ける。

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D

夏休暇も終わり残り約10ヶ月のお仕事 in Finland!

 

ほぼ息子L君の面倒を見ていただけの夏休暇も終わり、またお仕事の日々が始まった。

ここ1年のほとんどがそうであったように、家で再びリモートワークを始めるというだけのことだけど。

ちょっとリモートワーク長すぎて生産性ガタ落ちしてる気はしてるんだけど、大学のX線装置両方壊れてるし、溜まってるデータを片付ける時間に使うしかないんだよね。

正直余り楽しいと言える日々でもないけれど、せめてコロナの収束に多少は貢献しているのだろうと信じたいところだ。ま、収束どころか広がってるけどさ。

 

……まあ、良い機会だとは思ってもいる。

大学での今の契約は残すところ10ヶ月ほど。その先は今の科学関連の仕事を続ける気はなく、別の道に進もうと考えている。

正直なんとなく選んでしまい、なんとなくここまでダラダラと研究を続けてきてしまったけれど、この仕事年取って脳の劣化が始まるとちょっときついところがあるんだよね。

他の優秀な研究者に比べるまでもなく、日々の自らの仕事効率の悪さに嘆く日々。流石にこれを続けたら心が壊れる。

もちろんモチベーションさえあれば、そんなのは覆せるとは思うのだけどね。だらだら仕事として続けてるだけの私にそんなものははない。

テニス選手が肘・膝を壊したら、手術して1年を復帰に当てたり、そのまま引退してしまうように、脳が壊れた研究者は休養を取るか辞めるかしかないよね。まともな休養のシステムなんてあるのはトップ選手や教授たちってもんで、その前で壊れてしまったのならば壊れてない何かで戦える場所に移るしか無いってもんだよね。

しかし脳の不調は精神面にダメージが来るのが難しいところかな。どうしても頭が壊れたら精神も行動も不安定になりやすいものだよね。

まあそんな精神面の不調はPhDの頃から慣れたものだから、普通っぽく行動することはできるけどさ。ただ次の就活に影響がでないレベルに、この残りの10ヶ月の仕事をやってかないとなあとは思っている。

ホントはあと数年前に辞めておいて、移動しておくべきだったんだよな、とも思うけれど。ちっちゃい頃からそうだけど、見切りが下手くそなんだよなあ。ま、その辺はそういうふうに産まれてしまったのが悪いのか、そういうふうに育ってしまったのが悪いのか。それはともかくとして、パーソナリティーだからしょうがないってもんだけどね。

 

そういうわけで、このコロナ引きこもり生活を利用して、溜まりに溜まっている未発表データを片付けたいなってのが残りの10ヶ月の目標。

面倒見ている二人のPhDの学生だけはしっかりと対応するけれど、それ意外は重要な未発表データを手元に残さないってことだけを考えて進めていきたいのだ。幸いセルフファンドに近いポスドクなので、次に繋がる評価とか考えないでよければ気楽にやれるわけだけど。

立つ鳥跡を濁さず。そんな研究晩年にしたいな。

D

論文のpeer reviewのシステムってのは後どのくらい保つのかなー?

 

最近受け取った中では比較的まともな論文を査読し、ちょっと悩んだ末に結局リジェクトを付けた。アブストが面白そうだったから期待してたんだけど、内容薄すぎだしサンプルのセットもイマイチ……それでも最近査読した論文の中ではまともな方だったかなー、などと思いつつこの投稿を書いている。

いや、高齢ポスドクなのでまあそれなりの数の論文の査読をしてきたんだけどさ、最近このpeer-reviewのシステムって後どのくらい持つのかなー、って疑問を持ち始めていたりするのだ。

色々理由はあるけれど、一つずつ書いていこうと思う。

単純に大変なボランティアなこと

ご存じのようにpeer-reviewはボランティア。たとえ論文読むのに数日かかろうとも、検証するのがめちゃくちゃ大変な論文だったとしても、そこにペイは発生しない。読む価値のないデタラメ論文を投稿されていたとしても、まあ一度は読む必要はある。

科学なんぞ元々貴族の戯れであり、ペイなんか考える人がやっちゃいけないのだ……ってのは事実かもしれないけれど、私のような特に研究が好きなわけでもない職業研究者にはちょっとそのノブレスオブリージュの心は持てない。

もちろんpeer-reviewにかかる時間は職場の上司(スーパーバイザー)とかは、職務時間と考えてくれることがほとんど。日本はどうかしらんけど、たぶん大概はパーソナルディベロップメントの時間として考えてもらえるんとちゃうかな?

昔はなるべくパーソナルタイムに読もう、とかしてたけど、今ではほとんど仕事時間に突っ込んでいる。じゃなきゃとてもやってられないし。

まあそれはともかくとして、論文査読大変なんだよねえ……精神的にも時間的にも。適当な英語で書かれた適当なデータを、それなりに好意的に解釈しつつ、それでも穏便な表現でやっぱりクソって言わなきゃいけないっていう。

なんもわかんねー、ってくらいの論文が一番ラク。そんな論文あんまりないけど、なんもわかんねー場合は大概クオリティーが高いし、なんだかんだで勉強になる。もちろんクソすぎて意味わかんないって場合もあるけど、そういうのは目に見えるほころびもあるものだよね。

いやー、何にしても、普通にこんなんってペイが発生するべき仕事だよね。ってことで、そのうちボランタリーなpeer-reviewを引き受けてくれる研究者がちょっとずつ少なくなり、なくなっていくんとちゃうかなって思ってたりするんだけど他の研究者の人はどう思ってるのかな?

論文の数がめちゃくちゃ増えてること

昔って論文出すのって大変だったじゃないですか? 絵作るのも大変だし、英語校正も大変だし、刷って送ってレビューしてもらっても大変だし。

今はなんだろう。パソコン1台あれば全部できちゃう……そうXXXならね。ってことで、今は論文書いて投稿するの簡単すぎんだよね。そりゃ論文の数はぼろぼろ増えるさ、別に研究者の数が減ってたって、論文の出し先も大量にあるんだからさ。

んでしわ寄せがクルのがレビューシステムだよね。みんな論文書かないと評価されないから、よく検証されてない論文がどんどんと投稿されるわけで。

もちろん古豪のハイインパクトジャーナルは、エディターがだいたい最初にリジェクトしてくれるよ?まああの方たちのお仕事もまたえらく大変なんだろうなあと思う、実際にエディターリジェクトってるのは本人じゃないかもしれんけどさ。

でもそんな古豪ジャーナルからはそんなに若手にレビュー回ってこないし、どうでもいいのよ。2回かな……どんな経緯かはしらんけど私に回ってきたのは。

新興のジャーナルやら、IF低めのジャーナルやらから回ってくる論文がまあ曲者だったりするのさ。ほぼ素通しでレビューまでは回すジャーナルって結構あるのさ。最近だとIF10くらいあってもね。

結果として嬉しくない方の意味で大変な論文査読が、私みたいなクソ研究者にガンガン回ってきたりしてるんだろうねえ。

投稿が容易になってクオリティの低い論文が増えてること

前章の続きだけど……まあ、これが一番だよねー。

正直まともに研究してれば、よっぽど同分野の人じゃなければ、何言ってるかわかんねーけど、データ採取にも解析にもミスはないしあってるっぽい。まあ幾つかおかしいところはあるから指摘しとくか……こんくらいの理解でマイナーレビジョンになると思うんだよね。著者グループは基本的にそのフィールドをかなり良く知ってるわけでさ。

個人的にはデータを正確にとって、それをパラメタライズするところまで正確にやるってのがとても重要なことだと思っていて、その先のディスカッションは好きにやればいいさっていう主義。そこが多少おかしかったり言い過ぎたりとかってのはご愛嬌だと思うのだよね。

よっぽどフィールドがかちあった場合は色々とややこしくなるけど、まあそれはそういうものだから良いのだ。その時はすきなだけレビューアと著者で激論を交わせば良いのだよ。そういう大変さならレビューアも受けて立つものだし、そんな著者のレビューするならハッピーだよ。

だけど最近の現実としては、そのフィールドの人間じゃなくてもその前の段階で全くおかしいってわかる論文がやけに回ってくるのよ。データのとり方がおかしかったり、著者が解析のプロセスや意味を理解してなかったり。

こういうレビューはとても疲れる。何も自分に残らないし、むしろ思考に悪影響があるくらいなもの。

それで更に問題が何かって言うとさ、私レベルのクソな研究者がリジェクトって言ってる論文に「良い論文だ、マイナーレビジョン」とか言ってしまうレビューアも結構いること。

ほんとにそう思ってるのならいいんだけどさ……コメント見るとわかるけど、絶対まともに読んでないんだよなあ、ああいう人たち。パット見で真面目に読みたくない、って思ったのはわかるけどさあ。私も思ってたし。

でも、こういうので私リジェクト、他1・マイナー、他1・メジャーとかだと最終的にアクセプトに回るんだよね。だって何回も回ってくるレビジョンのレビューをリジェクトし続けるほどやる気ねーもん。

2回もエディターに「こんな直してきたんだけどどう?」って言われたら、気持ちリジェクトだけど、もうアクセプトでいいよってなるよ。ネイチャー・サイエンスのレビューしてんじゃないんだからさ。

……ってわけで、まあ既にpeer-review崩壊しはじめてるよね。

基本引き受ける前にアブストしか見れないってのも問題なんだよね。1回受けちゃうとそこから断るってのもなんだか微妙だしさ。論文みてから3日くらい断り期間もうけてくれるなら、たぶん5割の査読論文返上すると思う。まあそれはそれで査読システム崩壊するかもだけどさ。

あー、一応言っておくけど日本の研究グループはこのあたりかなりまとも、たぶん。そんなに日本人グループの論文レビューしたわけじゃないけど、幾つか読んだのはかなりしっかりしてたし普通にアクセプトされた、まあ阪大とか京大からだったからそりゃそうかって気もするが。でもどんな大学でも結局トップが1回は見てるんだから、ある程度のクオリティは担保されるはずでしょ?

新規性薄すぎてリジェクトとかディスカッションが妙に薄いとか……そんな特徴はあったりするけど、日本人グループは論文を読ませる作品としてはしっかり仕上げてくるよ。現時点では科学世界にとって良い存在だとは思うけど、だから全体の論文数やらインパクトのある論文が伸びてなかったりしちゃうのかなー、とは思ったりもするな。

いや、だって新規性のある内容ばっか飛びついて、レビューアにプルーフリーディングさせてたら、そりゃ論文数もインパクトも伸びるさ。1雑誌目で数人にレビューさせて、そのコメント利用して適当に手直しして2雑誌目へ。まあ、これで無料で労力少なく論文の質を上げられるんだよ。死ぬのは不幸なレビューアだけで、だから査読システムが崩壊するんだけどさ。

本当に低レベルな論文ほど若手にくること

これは私のやってきた印象ってだけだから間違ってる可能性も大。

まあ、結構な数の低レベルな論文見てきたわけですけど、結構真面目に見て真面目なコメントつけるわけですよ。若手なので。まあ時間かかるし大変なんだけど。

んで、最初からよくできてる論文が回ってこないのは、そういうのは大概大御所様に回ってるのかなと。

いや、もちろんそれは当然というか、理のあることだとは思うんだけど、でもこれももうちょっとバランス取った方が良いと思ってるんだよな。

大御所ならクソ論文回されても「こんな論文読む時間ない、リジェクト」で終わりにできるからさ。いや、理想的にはそういう反応も良くないのはわかるけど、そのレベルの論文ってのも結構あるものなのだよ。

昔はこの論文はジャーナルにあってない、みたいなコメントでのリジェクトが大嫌いだったけど、今ならなんとなくその理由はわかる。無理ぽっていう論文なんて一律でジャーナルにあってないくらいの理由つけてリジェクトしたいもん。

こういう論文が若手に回ってくるデメリットは色々あって、例えば若手の研究者が「なんだ論文投稿このレベルでいいのかよ……」って刷り込まれること。真面目にプルーフかけるのがアホらしくなるよね。逆に良い論文を読んだあとは、このくらい頑張らないとあかんなーってなるからね。

もちろん、それなりのレベルの論文を古豪の雑誌に投稿しても似たようなことはおこる。そんな雑誌のお抱えでレビューしてる人たちって結構凄研究者たちで、そのレベルからすれば私の論文とかも同レベルでクソなんだろうし、実際に直接”bullshit”のお言葉を頂いたこともある。いや、今思い出してもあのレビューは強烈だったな。研究者って割とイカれてるレベルでブチ切れる人いるよね。

ともかくとして、だからある程度のヒエラルキーがあること事態はしょうがないと思うのだけど、それにしても本当に拾い上げようのない論文を査読に回さざるを得ないってシステムな現状、金でも払わなきゃこのシステム持たなくなるんじゃなかろうかなあ、と思ってたりするのですよ。20−30年くらいのスパンで。

まとめ

このあたりのもろもろを考えると、まあpeer-reviewシステムはそのうち崩壊するんじゃないかなあと思っていたりする。個人的には崩壊すべきって思ってたりもするし、この美しいボランティア世界が残れるような科学コミュニティだったら良いなあとも思う……けど、実際には水は下方に流れるんとちゃうかなー。

ま、科学職業にバイバイすること決定した今だからこんなこと気楽に書けるんだけど、バイバイ決めた今だからこそ、将来的にこのフィールドがよくなっていると良いなあなんて思ってたりもするのです。自分に関係ない事の方が案外応援できるものだよね。

今苦労してるかもしれない同年代の研究者の皆さんが良い世界を作っていってくれたらと、リタイア組が応援してたりしますよー、っていう投稿でした。

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1. python・科学記事のまとめ

D

古いデータを論文にしようって言われても難しいのだー in Finland!

 

いや、5年くらい前に共同研究で解析までして渡したX線データを論文にしようって簡単に言ってくるんだけどさ、それは結構難しいんだよ。

解析済みのデータをそのまま使う、とか言ってくることもあるけれど、大概そんなことにはならないんだよな。結局何かしら齟齬が出て、解析やら図やらを微修正・微修正・微修正……で結局全部やり直すことになるんだよ。

その頃から解析方法は結構アップデートしてるしさ、古いプログラムは新しいパソコンで動かなかったりもするしさ。実験ノートはどこかにはあるはずだけど、やっぱり少しずつ記憶から消えかけてる実験データを扱うのは難しいってのもあるし。

捨てられる時間がたっぷりあるならば考えないでもないのだけど、結局それすると今の取り組んでるプロジェクトが押して、未来の自分にプレッシャーを与えることになるんだよな。

まあサイエンスの世界はそれをガンガン押してく変態レベルのハードワーカー(もしくはジーニアス)たちがいっぱいだけどさ。まあ僕はそうじゃないのだよ。

こんな感じの話って結構ある気はしてて、実際に論文発表までこぎ着けたことも数回ある。

でも、それすると下っ端(僕)がめちゃくちゃ大変なんだよな。統括してる人はまあそれなりにコメントつけりゃいいわけで、論文が増えるからいいんだろうけどさ。

レビジョンの間とかで微妙に忘れてる微妙なところを突っ込まれたりして、困ったりもするし。

というわけで、今回は時間ないって断った。昔から断るってのを悪いことに感じてしまう人間性なので、ちょっと断るのも精神的には辛いんだけどさ。

でも、正直なところ、5年前のあの時に進めてくれていれば、どんどん時間を使える環境にあったのにさー。あの頃はその論文のトピックも好んで勉強していた分野だし、論文執筆にもやる気がでたと思うんだよなー。

やっぱりデータは取っておくべきものじゃないよ。フレッシュに発表できなかったら諦める。そのくらいのほうが、リアルタイムで取り組んでる時に発表しきろうってなるし。ソッチのほうが下っ端に優しい世界になるし、きっとこの100年くらいで下っ端に優しい世界にすることは重要だと思うのだよな。科学に限らずだけどさ。

まあ、私はもうサイエンスのキャリアは諦めたからなんでもいいけど、若い人たちがハッピーになるといいねー。

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1. python・科学記事のまとめ

D

python3でnumpyのarrayを逆順で読み込み

いつも忘れるので自分用メモ。xy座標で0から-1と0から1を分けて処理したいとか言ったときに、座標を逆順から読み込む方法。以下はnumpyのarrayで。

numpyのarrayを逆順で読み込み

スライスかnumpyのflipを使う

端っこから逆順。スライスを使った場合。スライスを使う場合には、場所指定の数がずれることにだけ注意が必要。

print (Qhor[0:10])
print (Qhor[9::-1])
print (np.flip(Qhor[0:10],axis=0))

出力

[0. 0. 0. 0. 0. 0. 921.18257197 907.22434369 907.54839177 917.00774199]
[917.00774199 907.54839177 907.22434369 921.18257197 0. 0.  0. 0. 0. 0. ]
[917.00774199 907.54839177 907.22434369 921.18257197 0. 0. 0. 0. 0.  0.]

ちょっと見にくいので真ん中を切り出したバージョン。

print (Qhor[20:25])
print (Qhor[24:19:-1])
print (np.flip(Qhor[20:25],axis=0))

出力

[958.26422151 958.88673711 958.01356441 960.51771837 965.83001593]
[965.83001593 960.51771837 958.01356441 958.88673711 958.26422151]
[965.83001593 960.51771837 958.01356441 958.88673711 958.26422151]

おしまい。

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