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ノーベル賞2017 〜科学関連賞について

他にも色々重要な科学賞はあるものの、ノーベル賞は科学界の最高栄誉であろう。 ポスドクとはいえ研究者としては、どうしたらノーベル賞に手が届くような研究になるかとか考えて見ることもあった。 しかし実際に受賞している人たちなんかは、きっとそんなことは考えずに研究に邁進しているのだろう。 私の研究はノーベル賞と関係がありそうには思えないけど、少しでも科学の土台をどっかで押し上げられてたら良いなと思う。
さて、今年はストックホルムのノーベル博物館に行って来たこともあり、なんとなくノーベル賞を身近に感じている。 せっかくなので今年の科学3賞について、公式ページのプレスリリースを読んでみることにした。

ノーベル生理学医学賞

体内時計の仕組みを解明したアメリカの3研究者が受賞。 体内時計は太陽の光などをみないでも、体は一日の昼夜など24時間を認識できるよっていう機能。 人間の場合だと体調の変化だったり血液成分の変化だったり。 じゃあそれをどうやって可能にしているのっていうのを、ハエの遺伝子研究で明らかにしたそうです。
遺伝子の一つPER遺伝子が作り出すPERタンパク質っていうのが、夜間は増加して日中は減ることで24時間のリズムを作っているよう。 どうやってその量をコントロールしているかというと、実はPERタンパク質自体がPER遺伝子の働きを阻害することで、PER遺伝子の量が調整されるそう。 なかなか面白いシステム。 しかしPERタンパク質がこの働きをするには、細胞核に入る必要があるらしい。 PERタンパク質が移動するのを助けてくれるのがTIM遺伝子によって合成されるTIMタンパク質。 このような体内時計の働きを制御する二つの遺伝子の仕組みの解明が今年のノーベル生理学賞でした。
私は就寝リズムが崩れやすいタチなので、是非とも医療技術としての体内時計のコントロールの実現がなされると良いなと思っている。 単にだらしないだけかもしれないが。

参考: ”The 2017 Nobel Prize in Physiology or Medicine – Press Release”. Nobelprize.org.Nobel Media AB 2014. Web. 6 Oct 2017. http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2017/press.html

ノーベル化学賞

クライオ電験をはじめとした電子顕微鏡での生体高分子の観察法の開発でアメリカ・イギリス・スイス勤務の研究者が受賞。 電験はとても優れた分析機器だ。 なぜならそのまま目に見えないサイズのものを直接画像として見せてくれるからだ。 そのデータは非常に直感的でわかりやすい。 優れた文章を作るのも才能だが、1枚の綺麗な電験写真はそれを凌駕する可能性がある。
さて電験の問題点は、電子ビームが強すぎて生物試料だと焼けてしまうこと。 この強すぎる電子ビームでもなんとか撮影をしてあげようと、悪戦苦闘したのが受賞3研究者のようだ。 Dr. Hendersonが生体高分子撮影への道を開き、 Dr. Frankが画像解析による二次元画像の三次元的解析法を確立した。 そしてクライオ電験に踏み込んだのがDr. Dubochetとのこと。
非破壊という意味ではX線分析も優秀なんだけど、奇しくもクライオX線もノーベル賞をDr. Yonathがとっている。 クライオX線の開発で受賞というわけではなかったけど。 冷やすのは正義ということで何かしらまだ冷やしてない装置があったら冷やすべきなのかもしれない。

参考:”The 2017 Nobel Prize in Chemistry – Press Release”. Nobelprize.org. Nobel Media AB 2014. Web. 6 Oct 2017. http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2017/press.html

ノーベル物理学賞

重力波の観測でアメリカの三研究者が受賞。 観測から2年でのスピード受賞。 ヒッグス粒子がCERNの観測から一年で受賞したのもそうだけど、物理学賞の基礎発見への受賞はとても迅速?
さてアインシュタインが100年前に予想した重力波。 二つのブラックホールの衝突によって生み出された重力波が13億年を経て地球で観測されたことになるそうだ。 もはやよくわからないですね。
とにかく弱い波なのでバックグラウウンドの除去が重要。 というわけでDr. Weissがレーザーベースの干渉計ディテクターをデザインしたそうな。 それから40年ほどかけて重力波の観測まで導いたリーダー達にノーベル賞が送られたとな。 重力波の解析はこれまでの宇宙線解析などとは全く別種の情報を明らかにできるそう。 だけどよくわからないので、頭の良い人たちの研究続報を待ちたい。 ちなみにアインシュタインは実際に重力波を観測するのは無理だろうと思っていたとか。

参考:”The 2017 Nobel Prize in Physics – Press Release”. Nobelprize.org. Nobel Media AB 2014. Web. 6 Oct 2017. http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2017/press.html

日本人のノーベル賞についてちょろっと思うこと

日本の科学が危うい、日本人のノーベル賞が減っていくんじゃないかというような論調の記事をノーベル賞後いくつか目にした。 というかこのような記事は普段から結構よく見かける。 過去のノーベル賞受賞者たちが警笛を鳴らしているのだから、きっとそういうことはあるのだろう。 下部にリンクを貼ったがNHKのニュースでは研究論文数を引き合いに、日本の科学力の伸び悩みについて述べていた。
この論文数のデータをどっから引っ張ってきたのかはわからない。 しかし日本人はしっかりと良いデータが出た上で確証が持てるまで、論文を書かない印象がある。 私がアメリカのラボにいた時も、同僚がにたようなデータを日本のグループが持ってるようだけど論文を書いていない。 俺が先に出しちゃうぜ的なことを言っていた(実際に投稿したかは聞いていないが)。
また論文数だけ言うなれば、昨今あまり質のよくない論文が増えているのも事実だと思う。 私の周りではと区切るべきだろうが、日本人グループがあまりにひどい論文を書いている確率は低い。
ただ日本は人口が減っているわけで、その中で特別科学教育偏重にするだとか外国から研究者を呼び込むだとかいうことをしないのであれば、多少なりとも衰退するのは必然だろう。
アメリカなんかも若い国産の研究者が多いわけではないが、中国・インドからのポスドクなどがガツガツ仕事をしている。 アメリカの研究所や大学で中国・インドからの留学生が頑張っているのを見ると、ちょっと前の日本人はこういう感じだったのかなとも思うし。 さらに中国などはそんな海外経験を持つポスドクの中で優秀そうなのを優遇して呼び戻す制度を作っている。 そういう国からノーベル賞が増えるのは必然、というか良いことなんじゃないだろうか。
しかし身内びいきかもしれないが日本は基礎教育のレベルが高いし、日本で成功していく研究者のレベルもとても高く見える。 なので私はノーベル賞を産み出すような質の高い研究者は確保されていくんじゃなかと思っている。 だけど同時にそんなノーベル賞レベルの研究を、応用に広げていくような研究には手が足りなくなってくんじゃないかなとも思う。

参考: NHK NEWS WEB

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