フィンランドでの家探し

フィンランドに少なくとも1年移住することが決まり、そのためには色々と下準備が必要だ。 特にフィンランドに実際に移る前に決めておきたいのが住居である。 部屋が見つからずしばらくホテルを使うなんてことになると、高いアパートに入るよりも高くついてしまうからだ。

各国でのアパート探し事情

家の探し方は各国色々と特徴があって面白い。 アメリカで私が暮らしていたあたりの田舎では、大規模なアパートメントコンプレックスが多くあり、コンプレックスの一角に賃貸を管理しているオフィスがあった。 そこを直接訪ねて行けば部屋を見せてもらえる。 気に入ったならばその場で契約することができるという形であった。 一方嫁は一軒家の大家が部屋を貸しているところを探すのが好きで、それ用のウェブサイトを通じて部屋を探していた。 フランスに来る時は、誰かしら友達の友達あたりが部屋の貸し先を探していたので、そこにうまいこと滑り込むことができた。 フランスは普通の不動産屋もあるが、ルームシェア的に部屋を貸している人が多い印象。

フィンランドでのアパート探し

さて、フィンランドの家探しを始める際には、フィンランドでの不動産の知識も情報もなかった。 そこでまずは大学のHRに尋ねて見ることにした。 彼女の言うところによると、大学で宿舎的なのはあるが最大6ヶ月までしか入れないとのこと。 さらにこの宿舎的なのは一番安い部屋で一月1000€近く、設備は良いようだが決して安くはない。 他を探すなら大学のホームページが参考になるとのことであったので、とりあえず見てみることにした。

まずホームページで目についたのは、大学職員向けに斡旋しているアパートがあるらしい。 早速担当にメールを送って見る。 すると、学内イントラネットにそのアパートの情報は出ており、イントラネットにアクセスするパスワードを持っていないと利用できないそうだ。 つまり、学内で働いていてそろそろ別のところに引っ越したいと思う人用なのだろう。 あっさりと諦めて、民間のアパートを探す方向へシフトチェンジした。

民間のアパートを探す方法は日本と似ているのではないだろうか。 いくつか大手のウェブサイト系の不動産があり、現地で不動産会社を回ることもできる。 今回は現地に行っている余裕はないので、ウエブ系のものを使うことにした。 最初はホームページを英語にすることができる、Vuokraoviというウェブサイトを使っていたのだが、あまり良い物件が見当たらない。

そこで新しいボスに何か良いのがないか聞いて見ると、oikotieというウェブサイトが良いということだ。 ホームページは全てフィンランド語で書かれているのだが、そんなものはグーグル翻訳に突っ込めば問題ない。 そうするとoikotieでは業者を通していない物件なのか、割とリーズナブルな値段で条件の良いアパートがいくつか出てきたのだ。 いくつか目についた良いアパートに、興味があることを伝えるメールを英語で出して見た。

〜アパート1

家具付き950ユーロ程度。 職場から近くだいたい何でも近場にあり優良物件。 問い合わせのメールを出すも返信なし。

〜アパート2

家具なし850ユーロ。 水道代込み。 職場からはギリ自転車範囲。 メールのやり取りの末、とりあえず下見に行く約束を取り付けることができた。 しかし私たちはフランスにいるので下見に行くことができない。 そこで新しい職場のボスが代行をオファーしてくれた。 しかし下見の約束三日前に別の人が入居を決定してしまったとの連絡。。

〜アパート3

アパート2と条件は同じくらい。 しかし返信なし。

といった感じで苦戦続きであったのだ。 そんなときに、ボスから一通のEメール。 内容は、うちのポスドクがもうすぐフィンランドから出るから、その空いた後に入らないか?とのこと。 ちょっと探していた条件よりも遠く自転車での通勤は無理そう。 しかし、家具付き、電気・水道込みで850ユーロという条件は悪くないので、とりあえずもうすぐ出ることになっているポスドクにコンタクトをとり情報をもらう。 すると部屋・大家はとても良い感じで、部屋へのベビーカーでのアクセスも良い。 アパートの周りも良い感じにいろいろ揃っているよ・・とのことであった。 さらに彼女からの情報では、このアパートはすでにoikotieに広告が載っているという。 条件は結構良いので、埋まってしまうとまずいと、慌てて大家にコンタクトを取ることにした。

数回のメールのやり取りをした感じではとても良い感じの大家であった。 何よりも前ポスドクからの紹介であり信用がある。 私たちはここに引っ越すことに心を決め、契約手続きに入ることにしたのだった。 契約の締結に必要なのは、IDのコピーの交換と契約書にサインをすること。 意外と単純だが、問題は私たちが国外にいること。 私のボスに委任状を書いてサインをしてもらうことにし、またIDはスキャンをして大家に送った。

契約当日は電話くらいくるかなと一応待機はしていたのだが、何も問題なく契約書へのサインができたようである。 大家からは契約書締結ができ、鍵と契約書を私のボスに渡しておいたというメールが、私のボスからは同様の内容と大家と部屋がとても良い感じであったとのメールがきた。 というわけでこうして無事フィンランドでの住居を移住前に決めることができたのだった。 参考までに下記は私が使った委任状(authorization letter)である。

From: 私の名前
Address: 私の住所
To: 大家の名前
Address: 大家の住所
Date: 適当な日付
Subject: Authorization letter to sign the apartment contract
I, 私の名前, hereby authorize my supervisor in 職場, 私のボス, to sign the apartment contract, アパートの名前か住所, on my behalf. Feel free to contact me on 電話番号 for any further clarification.

Sincerely yours.
署名

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フィンランド渡航手続き 〜滞在許可証

フランス滞在中にフィンランドに転職したくなる方はレアかもしれないが、そういう人たちの役に立てば嬉しいなと思いつつ、フランスでのフィンランド滞在許可証申請のプロセスを備忘録に記しておく。

滞在許可証の必要書類と電子申請

フィンランドで働く場合、3ヶ月以内の場合だとVISAの申請になり、3ヶ月以上の場合だと滞在許可証の申請が必要になる。 私の場合はとりあえず1年なので、滞在許可証の申請を行った。 滞在許可証のカテゴリーはいくつかあるのだが、私はポスドクだが大学での研究活動をすることになっている。 そこで研究者用での申請を行った。
必要書類はアメリカやフランスに比べると少ないという印象。 何より重要な書類は、就職先からの招待状である。 就職契約が済んでいるような場合だと、契約書も必要なようだ。 私の場合はこれから働きに行くので、招待状だけで大丈夫だった。 招待状は就職先の人事部に名前・住所などいくつか情報を送ったら、数日後には準備していただけた。 その他申請の必要書類は、履歴書やパスポート、フランスの滞在許可証など特に準備の必要ないものだけであり、速やかに申請準備を整えることができたのであった。
フィンランド大使館は電子申請の受付をしており、書類をスキャンして先に電子申請をすることで、申請手続きのスピードアップが可能なようであった。 しかし滞在許可証申請には指紋の取得などが必要なため、パリのフィンランド大使館を訪問する必要はある(VISAの申請の場合だと各地領事館でも申請ができるとのことであった)。 面接の予約は大使館に電話する必要があるが、この時期は空いていたようですぐに予約をとることができた。

滞在許可証申請のためのパリ・フィンランド大使館訪問

電子申請の翌日、各種書類の原本を揃えてパリのフィンランド大使館を訪ねた。 パリは私の住んでいるグルノーブルからだと直通のTGVで三時間程度、手続き時間を含めてギリギリ日帰りが可能だ。
フィンランド大使館はオルセー美術館のあたり、コンパクトな建物であった。 入り口らしきものはあったものの、入り方がわからず嫁としばらく相談。 結局普通にチャイムをならしたら、中から入り方の案内をしていただけた。
面接は情報入力の際に多少システム障害があったため、私と嫁の2件の申請に一時間強かかったが、順調にいけば30−40分くらいで終わるのではないだろうか。 発行されたら郵送してくれるとのことで、申請料金とともに郵送料金を払って大使館を後にした。
ちなみに本当に空いている時期だったようで、私たちの申請中の訪問者は私たち二人だけだった。

滞在許可証取得に要する期間

滞在許可証発行までにかかる期間の情報があまりなかったので、私たちはどれだけ待つか少し心配していた。 結果としてはフィンランドの滞在許可証の発行は極めて迅速であった。 大使館訪問から約1週間で許可証授与の決定がおり、その後1週間ほどで私たちの手元まで郵送されてきたのであった。

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