サイエンスセミナーで座長をしてみよう

恥ずかしながらこの歳にして初めてサイエンスセミナーの座長を経験することになった。この投稿ではその時の経験についてまとめていきたい。

私はもともと自分の発表ですら大の苦手、というか人前に立つだけでもかなり心苦しく感じるレベルのメンタリティー。ついでに複数の物事を同時にやりくりして、上手に進行させるようなマルティタスクができない方。正直座長というのは能力的に無理かなと思っていた。

ところが数ヶ月前のある日、うちのボスから学生の年末の発表会の座長をしないかと誘われる。この手のスキル皆無だけどやってもいいの?って聞いたら、身内の学生の発表会だし、練習には一番向いてるでしょて感じのご返答。
確かにphdの学生の年末発表会のようなものなので、他でやるよりはきっと良いのでしょう、ということで好意に甘えて座長を体験させてもらうことにした。

結果としては想定通りなかなかにグダグダな経験になってしまったのだけど、そういう経験こそシェアする価値があるかなってことで、筆をとることにした。あまりこの手のが得意じゃない人の参考になれば良いかなと思いつつ。

サイエンスセミナーで座長をするのに準備したこと

というわけでまずは下調べ。
受け持つのはPhDの学生の発表というわけで、まず彼らの紹介に使うmini-bioの作成。ここら辺はオーガナイザーが紹介用のカテゴリーを作ってくれた。必要な情報は以下の通り。

  • 学生の名前
  • 修士論文のタイトル/もしくは内容
  • いつこのラボに移動して来たか
  • 博士論文のタイトル
  • ギャグ1個

発表前には気づかなかったのだけど、これが実は時間的に結構重たかった。修士論文のタイトルやPhDのテーマとかって大概にして結構長いので、これを説明するだけで45秒前後が過ぎてしまうということ。

それから英語の場合重要なのが学生の名前の発音。フィンランドの大学も大概多国籍なので発音がとても多様で難しい。
直接本人に発音が聞ければベストなんだけど、受け持つ学生が決まったのは発表の数日前。全員に聞いて回っている時間はなかったので、ちょっと発音に自信のない学生もいた。
しょうがないのでそういう名前についてはネットで検索してみた。どうやら最近はオンラインで結構マイナーな名前まで発音が調べられるようになっているよう。

それからギャグは学生も嫌だったようで、ほとんどの学生は送ってこなかったのでスキップ。
ちなみに担当の学生は6人と多いので暗記は諦めて各項目について、読む用のメモを最初から作ってしまうことにした。

迎えたセミナー当日のドタバタした話

セミナー前の準備

さて迎えた当日。

まずは朝始まる10分ほど前にセミナーのオーガナイザーとお話。
基本的にはトーク8分・質問2分の10分構成だったので、本当はこの時間の中に学生の紹介も詰め込まないといけないのだろうけど、今回はうちうちのセミナーなのでmini-bioを読み上げるところの時間は、時間から抜いちゃっていいとのこと。だからこの時点で30秒x6で3分遅れるのは許容範囲ということ。

サイエンスセミナーの開始

予定が狂い出したのはまずはビッグボスのトークから始まるオープニング。
彼の持ち時間は15分と結構長かったので、正直ここで2・3分くらいの時間の余裕ができるんじゃないかと思っていた。のだけれども実際は彼がしっかり喋りに喋った。
余裕ができるどろこか始まりですでに時間が2分オーバー。

さて一応私も名前とプロジェクトだけの簡単な自己紹介。それからセッションを一言で紹介して、経過時間お知らせのタイミングと方法だけ説明。
これが終わった時点ですでに3分くらいオーバーしていた。

というわけでこっからメインパートの始まり。あとはひたすら以下の繰り返し。

  1. 学生の紹介
    これは準備しておいた通りに紹介をするだけ。30ー45秒ほど。特に問題なし。
  2. 学生の発表
    ここでストップウォッチを押す。私の担当の学生は結構自由だった。7分で終わった人から9分30秒喋った人まで。分布広かった。次のセッションの学生たちは、だいたい8分前後で終わっていたので、ここら辺は結構運次第。学会でも同じようなものかしらね。
  3. 5分と7分で学生へ残り時間の案内
    今回は用意されていたサインを発表中の学生に見せる形式。大画面を見ながら喋るタイプの学生はなかなかサインに気づいてくれないもの。後で思ったのは、そういう学生には普通に声を出してしまえばよかったのだった。
  4. 学生の発表が終わったら拍手
    拍手ってあるタイプのセミナーとないタイプのセミナーがある?今回はオーガナイザーに確認したら、発表後・質問後・セッション後の拍手を入れて良いとのこと。
  5. 質疑応答
    拍手が終わったら質疑の開始。簡単なようで一番やっかいなところ。残り時間が2分近くある人は「Do you have questions?」「any questions?」、1分くらいで「A question?」、30秒くらいから「one quick question?」くらいの感じでやってみた。
    問題となったのは当たり前といえば当たり前なんだけど、みんな座長のことなんて気にしていないということ。クイッククエスチョンって言ってるのに、平気で長い質問が出てくるし。ちょうど時間が切れたから「Thank you」と終わりにしようとしたら、ビッグボスが急に長いコメントをつけだしたり。研究者らしくてみんなとても自由。
  6. もう1回拍手をして次の学生へ
    ここは特に問題無し。

全員終わったら発表者全員と会場に来てくれた人に感謝を述べてもう1回拍手をしておしまい。

少しずつ時間が押していったせいで、最後はちょうど10分オーバーくらい。研究室のビッグボスが質問最後に喋り出した1分半と、クイッククエスチョンて言ってるのに最後に2分くらい喋ってたどっかの先生がほとんど全てだなんけど。
まあ最初の始まる前の3分と紹介での3分が許可されていたと考えれば、実質推してたのは4分ほど。

でも最後にオーガナイザーと少し話したら、遠慮せずに質問はぱっぱと切ってもよかったと言っていたので、やはり10分はちょっと押しすぎたかな。
伸びてた時間を調整するように、臨機応変に対応できればよかったのだろうけれど、新米座長にはちょっと荷が重かった。
もう少し経験を積めばそういうこともできるのかしらね。とはいえもとから伸びてる時間で発表の時間を奪ってしまうのもなんだかあれだし、やっぱりちょっと難しいな。
今回に限って言えばスタートが遅れていたのだから、紹介の時間だけでも発表時間に含めてしまった方がよかったとは思ったけど。

サイエンスセミナーを終えて

というわけであまりうまくさばくことのできなかった初座長。たぶん次の機会があればもう少しうまくできるだろうとは思うけれど、次の機会はあるのだろうか。
やってみた感想としては、正直結構面白い体験だった。時間の配分以外はだいたいよくできたと思うので、次の時はここの計画をもうちょっとしっかりと考えて行きたいと思う。
ただこんなおっさんになってから初めてやるよりは、ある程度若いうちに経験しておいが方が上手になるタイプのものだとも思う。ポスドク始めたくらいでチャンスがあればやっておくと良いかもしれない。

次のセッションの座長を見てて思ったんだけど、残り30秒だろうと1分だろうと、1個か2個質問が出たらもういいかって感じで質問を打ち切っていた。私はなるべくギリギリまでその学生に質問の時間を与えたいと思っていたのだけど、残り30秒くらいのところはもう終わりにしてもよかったかなってのが一番の反省点。

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